「コロナ禍」は収束の目処が立たないばかりか、戦後最悪と言われる世界的な大不況をもたらしている。恐るべき不況に陥っていることを示す経済指標は、これから次々と明らかになるだろう。そんななか、景気対策として、ドイツ、イギリス、ベルギーなどは消費税減免を実施。日本でも、「消費減税論」が、コロナ禍で動揺する政局の行く末を左右する問題となりつつあるようにも見える。一方で、減税論はポピュリズムに過ぎないという声も多い。どう考えるべきなのか、評論家の中野剛志氏に論じていただいた。

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ドイツ、イギリス、ベルギーほか20ヵ国が消費税減免

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(コロナ禍)は、世界的に、戦後最悪と言われる大不況をもたらしながら、パンデミックの収束の目途は未だに立っていない

 この未曽有の危機に対し、ドイツは2020年7月1日から、半年間の限定措置として、付加価値税(消費税)の税率を19%から16%に引き下げ、食料品などに適用されている軽減税率も7%から5%に引き下げることとした。

 また、イギリスは、5月1日から電子書籍等の消費税を免税とし、さらに6月15日から来年1月12日までの半年間、外食・宿泊・レジャー関連産業にかかる消費税の税率を20%から5%への引き下げる措置を実施した。

 ベルギーもまた、2020年6月8日から12月31日まで、困難な状況に直面しているホテル・レストラン・カフェといった産業のサービスにかかる消費税(アルコール飲料を除く)を12%から6%に低減する減税策を実施することとしている。

 この3ヵ国のほかにも、20ヵ国が、コロナ禍の経済対策として消費税の減免措置を講じているのである。

「消費減税」が政局を左右する問題になりつつある!?

 こうした中、我が国でも、消費減税を求める声が挙がっている。

 例えば、自由民主党の安藤裕衆院議員ら若手有志による議員連盟「日本の未来を考える勉強会」等は、4月1日、百名以上の議員の賛同を得て、消費減税を求める提言を発表した。

 また、自民党税制調査会幹事の西田昌司参院議員も、消費税率をゼロにすることを求めている。安藤議員や西田議員は、消費減税を主張するにあたり、近年、話題となっているMMT(現代貨幣理論)を援用していることでも、注目されている。

 もっとも、自民党内には慎重な意見も根強く存在する。

 ある党幹部は、減税を求める党内若手の動きについて「消費税率引き上げを巡る歴史や苦労を、若手は何も分かっていない」と批判したと報じられている。それどころか、石原伸晃・元幹事長らは、新型コロナウイルス対策で拡大する財政赤字を懸念し、むしろ税収を増やす施策を安倍総理に要望した

 野党でも、国民民主党の玉木雄一郎代表は、消費減税を焦点とした衆議院解散が行われる可能性もあるとして、野党は消費減税でまとまって戦うべきだと主張している。しかし、立憲民主党内には消費減税に否定的な意見もあり、どうなるかは不透明である。