親子の関わり方で必要なのは、余白
―― 確かに、親があれこれ言わなければ、子どもは自分で考えて行動しますよね。私の子どもを見ていてもそう思います。
諏内 以前、私のスクールに、お母様と来た女の子がいて、本当にびっくりするほど変わったことがありました。最初のカウンセリングでお母様は、「この子は人と話すのが本当に苦手で」とおっしゃったんですね。そのあと、「ではお母様は何時にお迎えにきてくださいね」と言って、その女の子だけで、「今日は何を食べましたか?」など口頭試問をしました。
そのあと親子一緒の時間に、いくつか会話のやりとりを見せてさしあげましたた。そしたらお母様が泣き出したんですね「うちの子が大人と話しているのをはじめて見ました」とおっしゃって、「まあ!」とこちらのほうが驚いてしまって。その女の子は、幼稚園の先生ともそれまで一回も話せなかったそうなんです。
とても真面目な子で、正解しか言っちゃダメだと思い込んでいるように見えたので、おそらくお母様の影響もあるかもしれません。失敗や間違いをしてはいけないと思っているお子様は本当に多いので、「大丈夫よ、間違ってもいいのよ」と言ってあげると、ぐんぐん伸びていきます。
その女の子もお受験前には自信がついて、人前でもきちんと話せるようになりました。幼稚園でもみんなの前でお一人で歌を歌えるようになったらしくて、お母様が大喜びしていましたね。お受験もうまくいって、第一志望の白百合学園小学校に合格しました。
―― すごい成長ぶりですね。親は子どもが失敗しても間違っても怒ったり叱ったりせず、できたことを褒めてあげたほうがいいですよね?
諏内 できたことを褒めるのはもちろんですが、結果よりも過程が大事なので、「プロセスを褒めてください」と、私はいつもご両親にお伝えしています。どんな結果になっても、「○○ちゃんががんばったことがえらいよ」、「今までずっとがんばっているのを見てきたから、それだけでママは嬉しいわ」と過程を褒めなければ、子どもは結果を出せないことを恐れてしまったり、「どうせやっても無理だから」と諦めてやめてしまう子になってしまいます。
失敗しても、間違ってもいいから、「ここまではできた」、「ここまではがんばれた」と思うことができれば、また次にチャレンジする気になります。「たくさん失敗しないと上手くなれないよ」ということを伝えているご家庭のお子様は、とてもポジティブに成長していきます。
―― まったく同感です。では最後に、11月のお受験本番を迎えるお母様お父様に、励ましのメッセージをひと言お願いします。
諏内 子どもは敏感ですので、お母様やお父様がナーバスになっていると、お子様にもそれが伝わってしまいます。子どものためのお受験で、夫婦の価値観や考え方の違いが明らかになって、家庭崩壊してしまったら本末転倒です。
以前、「主人と意見が合わなくて困っています」と、早朝から泣いて電話をかけてきたお母様もいました。逆のパターンで、「教育に厳しすぎる妻と言い争いになって、家を出て行かれてしまいました」ととご主人からSOSがきたことも!
でも終わったあとはみなさん、「お受験をやってよかったです」とおっしゃいます。お受験をきっかけに子どものことを夫婦で真剣に考えて、将来のことを話す時間が増えるので、家族の絆が深まります。
ですから、これからお受験されるご家庭は、子育てを見直すいい機会だと思って夫婦でよく話し合って、前向きな気持ちで臨んでほしいと思っております。
みなさまのご希望が叶いますようお祈りしております。
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