「~するべき」という思考のロックを外す
――今でも、悩んでいる人から相談を受けることがよくあるとおっしゃっていますが、どんな悩みを抱えている人が多いのでしょうか?
借金玉 段階的に3つに分かれますね。
1つ目は死にそうになっている人で、そういう人にはやはり「とにかく休め」と言います。
2つ目は経済的な問題がある人で、生活保護は受給できないとか、受給してはいけないと思い込んでいるケース。これはかなり厄介で、働けなくて休むべき状況にある人は、受給するしかないんですが、僕にはどうすることもできないので、役所でなんとかしてもらうしかありません。
一番回答に苦しむ3つ目の相談は、何かにチャレンジしようとしている人から、「どうすればいいと思いますか?」と相談されるケースです。これは僕が起業経験があるから聞いてくるんだと思いますが、どんな無謀な起業も失敗するとは言い切れないので、良い結果を祈るとしか言えません。イチかバチか何かにチャレンジしたい人には、「やってみたらいいんじゃない? 死なない程度に」という話をしている感じですね。
3つのパターンの相談に共通するのは、具体的な悩みが出てくる人はほとんどいなくて、みんな漠然と悩んでいるということです。だから、なるべく「今」「何に」困っているかを具体的に聞き出すようにしています。そうしないと解決策も見つかりませんから。
――「~ねばならない」と自分を追いつめて悪循環にハマってしまうことは、日常生活でもたくさんあります。
借金玉 「ちゃんとやる」、「がんばる」、「一生懸命」といった気持ちが、自分の本心として出てきているならいいんですよ。でも、生まれ育った環境による刷り込みや、既成概念で、「~するべき」とか「~しなきゃいけない」と無意識のうちに思い込んでいるのは非常に危険な状態なので、それだけは避けてほしいです。
僕の本が、そういう「思考のロック」「悪いマインド」を外すきっかけになってくれるようにと思って書きました。
いわゆる意識高い系の人、がんばり屋さんの人ほど、理想にたどりつけないと自分を責めてしまう。「自罰意識」が強いんですね。もちろん、意識が高くてそれを全部実現できる人はいいんですけど、できない人が方向性を間違えるのが一番辛いので……。この本を読んでくださった方の意識が、健全な方向に低くなることを願っています。
僕のパソコンのデスクトップには、「破滅」という名前のファイルがあって、致命的なミスをしたときのネタ帳にしています。スケジュール調整を間違って不動産の契約がポシャったり、車で六本木に行ったのに電車で帰ってきて、35時間分の駐車料金を払ったら、とんでもない値段になっていたり。笑うに笑えない失敗も、どこかに書けば飯の種になることがありますから。転んでもタダじゃ起きないぞと開き直ると、少しラクになりますよ(笑)。
【大好評連載】
第1回 発達障害の僕が「毎日怒られていた子ども時代の自分」に絶対伝えたい2つのこと
第2回 発達障害の僕が発見した「学校に適応できず破滅する子」と「勉強で大逆転する子」の決定的な差
第3回 発達障害の僕が失敗から見つけた「向いている職業」「避けるべき職業」