ソニーの次世代ゲーム機、プレイステーション5が間もなく発売を迎える。ゲーム市場での前評判は上々だ。「プレイステーションの父」久夛良木健(くたらぎ・けん)氏が今振り返る、プレイステーションが成功した理由。そしてソニーがプレイステーションを生み出せた理由。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
プレステは「いい子」ではなく
「たくさん仲間がいる子」
――もうすぐプレイステーション5の発売です。買いますか?
もらえるんじゃない?「お父さん」だもん。
――ソニーの吉田憲一郎会長兼社長と十時裕樹副社長から連名で、久夛良木さんのアセントロボティクスCEO(最高経営責任者)就任を祝うお花が届いていましたね。
気持ちだけで十分だよって言ったんだけどね。
――久夛良木さんにとっては、プレイステーションはどういうものですか。
やっぱり子どもだね。もちろんかわいいんだけれど、なぜかわいいかと言うと「出来がいい子」だからじゃない。親がびっくりするほど遠くまで行って、いろんなお友達を作って、仲間を作っているから。
僕がプレイステーションで創りたかったのは、コンピューター・エンタテインメントという新しいドメイン(領域)。それを創るには自分だけじゃなくて、仲間がそれぞれに盛り上げようとしてくれることが大事だった。誰が誰をつぶそうと考えるのではなくて、みんながそれぞれ何かしら、自分の得意なことをやっている。そういうのが僕はすごく好きなんだ。
メディアはプレイステーションについてよく、対任天堂さん、対セガさんという構図を書き立てた。でも僕らは誰一人としてそんなことは考えていなかった。メディアはいつも競争構図が好きだよね!でも僕らにしてみれば、任天堂さんもセガさんも仲間だった。