それぞれの血液型の人が、対照群と陽性群に占める割合を比較した結果、O型の人が占める割合は、陽性群では38.41%であったのに対し、対照群では41.69%に上った(O型の人の新型コロナウイルスに感染する相対リスクは0.87)。その一方で、A、B、AB型の人が占める割合は、いずれも対照群に比べて陽性群での方が多かった(A型:42.39%対44.41%、B型:11.46%対12.09%、AB型:4.47%対5.09%)。この結果から研究チームは、A、B、AB型の人は、O型の人よりも新型コロナウイルスに感染しやすい可能性があると結論付けている。
二つ目の研究は、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のMypinder Sekhon氏らが実施した後ろ向きコホート研究である。この研究では、2020年2月21日〜4月28日の間に、カナダで集中治療室(ICU)に入室した、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者のうち、ABO式血液型の判明した95人を対象に、血液型とCOVID-19の重症化との関連が検討された。
その結果、A型またはAB型の患者は、O型またはB型の患者に比べて、人工呼吸器を必要とした人の割合と、COVID-19による肺損傷の発生率が高いことが示唆された。また、腎不全による透析を必要とする人の割合も、A型またはAB型の患者の方が多かったことも明らかになった。この研究論文の上席著者であるSekhon氏は、「われわれの研究のユニークな点は、血液型がCOVID-19の重症度に与える影響に焦点を当てたことだ。研究では、肺と腎臓の損傷が、A型またはAB型の人に、より生じやすいことが確認された。今後の研究で、血液型とCOVID-19が重要臓器に及ぼす影響を明らかにしていきたい」と述べている。
これら2件の研究結果は、COVID-19患者のうちA型またはAB型の人は、O型またはB型の人と比べて、臓器障害または臓器不全のリスクが高い可能性のあることを示唆している。また、A型またはAB型の人は、O型またはB型の人よりも、入院期間が短かったが、集中治療室への入室期間は長かった。このことは、A型またはAB型の人で、COVID-19がより重症化していたことを示している可能性がある。
Sekhon氏は、「現在では、COVID-19の急性期を切り抜けた生存者が数多くいる。このことは、パンデミックを乗り切っていく上で非常に心強い要素だ。今後の研究で、COVID-19のより長期的な影響に関するリスクを層別化するためのメカニズムを探っていく必要がある」と話している。(HealthDay News 2020年10月14日)
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