その結果、新型コロナウイルスの排出期間は、上気道で平均17.0日、下気道で平均14.6日、糞便中で平均17.2日、血清サンプルで平均16.6日であることが明らかになった。排出期間が最も長かったケースは、上気道で83日、下気道で59日、糞便で126日、血清で60日であった。
また、新型コロナウイルスのウイルス量は、上気道では発症後1週間でピークに達することも判明した。報告されたウイルス量が最も多かったのは、発症時、あるいは発症後間もない時期、もしくは発症から3~5日目であり、その後は低下の一途をたどった。さらに、たとえウイルス量が多くても、発症から9日目以降に生きたウイルスが患者から検出された報告例はないことも明らかになった。そのほか、新型コロナウイルスに感染して発症した人と発症しなかった人との間で、ウイルス量は同程度であることも判明した。
一方、SARSウイルスとMERSウイルスに関する研究の解析からは、両ウイルスとも、ウイルス量がピークを迎えるのは、新型コロナウイルスよりも遅いことが判明した。ウイルス量のピークはSARSウイルスで発症後10~14日目、MERSウイルスで発症後7~10日目であった。このことは、COVID-19がSARSやMERSよりも早く広がったことの理由になり得ると著者らは説明している。
こうした結果を受けてCevik氏は、「われわれの研究結果は、大多数のウイルス伝播は非常に初期に起こり、特に発症から5日の間に生じることが多いとする、接触者追跡研究の知見と一致する。この結果が示唆するのは、症状が現れたらすぐに自己隔離することが重要だということだ」と述べている。同氏はまた、「咳や発熱のような明らかな症状ではなく、感染初期に生じる軽い症状も含めた、COVID-19に関連する症状の範囲についても、公衆の認識を高めることが必要だ」と主張している。
なお、Cevik氏らによると、この研究は感染が確定した人のみを対象としており、感染者と接触した可能性のある人は含まれていないことから、感染の疑いがある人をどのぐらいの期間隔離すべきかの目安を提供するものではないという。
Cevik氏は、「われわれの研究結果は、臨床現場において、感染者に感染力がないことを示すためにPCR検査を繰り返す必要はないことを示唆するものだ。なぜなら、PCR検査でウイルス陽性が続いても、必ずしも他人に感染させる可能性があるとは限らないからだ。非重症患者の場合、ウイルスが感染力を持つ期間は発症から10日間程度だろう」と述べている。(HealthDay News 2020年11月24日)
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