在宅ケアの期間は平均32±27日だった。退院から初回の訪問医療までの期間は平均2.4±2.2日で、3日以内に80%の患者に対する初回訪問医療が実施されていた。訪問回数は合計1万3,926回で、その76%は直接訪問、16%は電話、8%はテレビ電話で行われていた。
追跡期間中に87%は再入院や死亡することなくケアを終了し、一方で10%は再入院を要していた。死亡率は1%だった。他の2%は、追跡終了時点でも引き続き在宅ケアを必要としていた。なお、再入院した患者のうち57%は、追跡期間中に再び在宅ケアに移行していた。
この結果についてBowles氏は、「在宅ケアを行わない対照群を設定しなかったため統計解析はできないが、全体的には在宅ケアの有用性を示した結果と言えるのではないか」と述べている。つまり、少なくともニューヨーク在住の患者については、急性期治療後に在宅ケアに移行しても、多くの場合、良好な経過をたどっているということだ。
一般的に在宅ケアでは患者のニーズに応じて、看護師や理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーなどによる医療ケアが提供される。Bowles氏によると、在宅ケアを積極的に推進することで急性期病院への入院期間を短縮できるという。また、介護施設などへ入所する代わりに在宅ケアを行うケースも多いと解説している。
今回の研究では、在宅ケアによって多くの患者が最終的には良好な転帰をとることが分かったが、その一方で問題も浮かび上がった。COVID-19による衰弱のため、回復に数週間から数カ月もかかる患者が少なくなかったのだ。
「COVID-19による悪い結果は死亡だけではない。心臓や肺に障害が残る患者や、精神疾患を発症した患者を診察することがある」。そう話すのは、今回の研究には関与していない、米テキサス大学のLuis Ostrosky氏だ。同氏は、非高齢者でもCOVID-19に罹患すると、症状の遷延に苦しむ可能性があることが示された点は重要だと指摘している。このコメントは、今回の研究の対象者は平均年齢が前述のとおり67歳だが、65歳未満が43%含まれていたことに基づく。
本研究で示された、COVID-19患者の退院後在宅ケアの重要性に関しては、Ostrosky氏も同意を示している。同氏は患者退院に際して、患者の医学的な状態の評価に加え、患者の家族が在宅ケアを受け入れられるかどうかの評価を重視しており、それが在宅ケアを成功させる上での重要なポイントだと説明している。
なお、Bowles氏によると、米国内のCOVID-19による入院患者のうち退院後にも医療が必要な患者の割合に関する明確なデータはない。ただ、6月に発表された政府統計では、退院から在宅ケアへの移行率は11%にとどまっていたため、同氏は在宅ケアが十分活用されていない可能性を指摘している。(HealthDay News 2020年12月2日)
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