総予測#13
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特集『総予測2021』(全79回)の#13では、2021年の新興国経済の先行きについて予想した。新型コロナウイルスの感染状況が大きく左右する状況は21年も変わらないが、世界貿易の底入れ、ドル安を背景とした資金流入で新興国の成長率は上振れするとみられるが、主要国が早期に金融政策の正常化に動いた場合に、財政収支や経常収支が悪化している新興国が窮地に立つ可能性はある。(第一生命経済研究所調査研究本部経済調査部主席エコノミスト 西濵 徹)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

新興国から資金が流出し
信用収縮圧力が高まった2020年

 2020年の世界経済にとっての最大の悪材料は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)であったことは疑う余地がない。21年も引き続き新型コロナウイルスの動向が新興国経済の鍵を握る状況は変わらないが、世界貿易の底入れ、ドル安を背景とした資金流入により経済成長率は上振れが期待できる。

 中国が当初の感染拡大の中心地となったことは、近年の中国の高い経済成長を背景に、中国を中心とするサプライチェーンに組み込まれてきたアジア新興国のみならず、中国経済への依存度を高めてきた資源輸出国をはじめとする多くの新興国に悪影響を及ぼした。

 さらに、世界経済の減速懸念をきっかけにした国際金融市場の動揺は、新興国からの資金流出を招き、多くの新興国で信用収縮圧力が強まった。ただ、中国が強力な感染封じ込め策を実施して、早期に事態を収拾したことは、その後の世界経済の回復を促す一助になった。

 足元では欧米など主要国で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、行動制限が再強化される動きが見られる。多くの新興国でも感染収束の見通しが立たないなど予断を許さない状況が続いている。