「説明手法のギャップ」が
ストレスをためる原因に?

 20年来、ビジネススキルをその場で高める演習プログラムを実施する中で、話がかみ合わない原因は、説明する側と説明される側の説明手法のギャップにあることがわかった。

 説明手法とは、経過をたどって説明する「経過手法」、内容を分解してポイントを説明する「分解手法」、目的などの到達地点から逆算して説明する「逆算手法」、現在地点からの延長で説明する「積上手法」、そして、重要な点を説明する「重要手法」、緊急な点を説明する「緊急手法」、貢献できる点を説明する「貢献手法」の7つに分類できる。

「経過をたどって説明すると○○、○○です。その中で重要なのは○○です」「目的を達成するためには、逆算して○○、○○が必要です。その中で緊急なのは○○です」というように、経過手法、分解手法、逆算手法、積上手法を用いた後に、重要手法、緊急手法、貢献手法につなげる方法もある。

 よかれと思って順を追って経過手法で説明していたら、途中で遮られて「ポイントを言ってくれ」と言われた人もいるだろう。自分は経過手法で説明していたが、相手は分解手法を求めていたといえる。結論から話せと言われることが多いので、逆算手法で話し始めたら、「飛躍しないで、現状とのつながりで話してくれ」と積上手法を求められたことのある人もいるに違いない。

 説明する側と説明される側の説明手法にこうしたギャップがあると、話がかみ合わず、途中で中断させたり、行きつ戻りつしたりして、お互いにストレスをためることになり、生産性を低下させてしまう。

「説明手法のギャップ」を
可視化してみると…

 最近、私が実施した説明力を向上させる演習プログラムに参加した人について言えば、説明する場合に好む説明手法と、説明される場合に好む説明手法は、以下のグラフ1のように可視化できる。

 縦軸は、好む度合いで、3が最高点だ。対象は合計100人と限られているが、地域は東京都、静岡県、愛知県、福岡県、業種は自動車、金融、保険をはじめさまざまに、職位は役員、管理職が多いが多岐にわたる。