「課題の深刻さ」×「市場規模」に注目して、強い銘柄を長期保有する――。設定来13年間で基準価格を23倍にして、2020年も88%の上昇を達成したDIAM新興市場日本株ファンド。特徴は上場時から中小型の成長株を長期保有することにある。特集『最強のテンバガー』(全18回)の#4では、運用を担当する岩谷渉平氏に、銘柄選びの視点や、今後5年、10年と成長が期待できるテーマについて聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
上場時から中小型の成長株を長期保有
運用ファンドの基準価額が13年間で23倍に
――運用ファンドの多くがTOPIX(東証株価指数)を大きく上回って推移しています。特に「DIAM新興市場日本株ファンド」(新規申し込みを一時停止中)の基準価格は13年間で23倍になっています。投資方針や銘柄選びについて教えてください。
銘柄選びで意識しているのは創業の動機です。もう少し具体的に言うと、どんな社会の課題を解決したいのか。あとはビジネスなので市場規模が大きいかどうか。易しく言えば、みんなが必要としているのか否かです。
例えば、医療の課題は先史時代からありますが、それをITの活用で解決しているのがエムスリーです。医療分野の課題は、新薬の紹介から、医師の転職、オンライン診療まで裾野が広く、市場規模が大きい。
医師に薬の情報を提供するMR(医薬情報担当者)関連費用だけでも巨額に上ります。また、成功したビジネスモデルを中国やマレーシアなど海外に展開することも可能です。
もう一つ重要なのは、難しい問題であるほど、他の企業が参入してこないことです。エムスリーの谷村さん(谷村格・代表取締役)は、その難しい課題に切り込んでいきました。同社はここ10年ほど長期保有している銘柄です。
――エムスリーの株価はここ10年で数十倍になっています。PER(株価収益率)も高く、成長継続中とはいえ、利益を確定したくなりませんか。
あくまでも大事なのは、医療の課題が解決したかどうかです。コロナ禍でむしろ医療課題は増えています。課題がなくなれば、その会社は売りかもしれません。意識しているのは「永続するイシュー(課題)に飛び込む」ということです。ですから、課題の深刻さや市場規模が重要なのです。
――具体的に今注目されているテーマや銘柄を教えてください。