『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、どんなチームや企業にも存在する「組織文化」をテーマに、それを知り、変え、そして進化させていくための方法を紹介しています。なぜいま「組織文化」が重要なのか。本連載では本書第一章に収録した原稿を特別公開中です(「日本企業が世界で勝つには「らしさ」が最大の武器になる」「「システム思考」を生かして組織文化を理解しよう」)。実は、スポーツの世界でもこの数年である新しい動きが生まれています。

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 これまでスポーツの世界では、競技の舞台で起こる出来事が何よりも重視されてきました。特にボールゲームでは、「オン・ザ・ボール」というボールを持つプレーヤーの動きばかりを追ってきました。

 しかし最近は「オフ・ザ・ボール」という、ボールを持たないプレーヤーの動きが注目されるようになっています。

 そもそもボールゲームでは、プレーヤー全員に対して、与えられるボールはたった一つ。試合中はボールを持たないプレーヤーのほうが多く、彼らがいかに有機的かつ効果的に動くかが、試合に大きな影響を与えることがわかってきています。

 たとえばサッカーなら、自分たちが相手のゴール前に迫っているとき、味方のゴールキーパーの動きを追いかける観客はほとんどいないと思います。ところがゴールキーパーは、こうしたシーンで非常に大切な指示を出しています。ゴールキーパーの指示があるからこそ、不用意にボールを奪われても相手の攻撃を遅らせることができるのです。

 ラグビーでも、味方の最後方に位置するフルバックというポジションは、守備のうえでは最後の砦です。そのため試合中にボールを触ることや相手をタックルで仕留めることはそれほど多くありません。しかし、相手が攻めようとする場合には、自陣に空いた広いスペースを守るために先を読みながら細かく移動し、相手の攻撃の芽を摘むことが求められます。

 スポーツで試合の行方を左右するのは、オフ・ザ・ボールの動きにあると言っても過言ではありません。

 この考え方が浸透し、サッカーやラグビーの世界では、選手の契約金や年俸などの交渉にも、オフ・ザ・ボールの貢献度が影響するようになっています。得点を決めるプレーヤーばかりが高く評価されるのではなく、得点を狙える環境をいかに整えることができたのかという観点から、プレーヤーが評価されはじめているのです。

 オフ・ザ・ボールの動向が勝利に直結するという考え方は、さらに進化しています。