英単語はそこそこ知っている。文法もそれなりに分かる。にもかかわらず、英語が聞こえない、通じない、会話が続かない日本人が多いのはなぜでしょうか? 国際ヘッドハンティング会社のアジア支社長を務め、現在、シンガポール国立大学で世界の留学生たちに英語コミュニケーション術を教える著者は、その理由を「日本人の英語の勉強法が間違っているから」だと言います。香港生まれで、東京外国語大学の日本語学科を首席で卒業した著者は、「日本語の言語学的特性」を熟知した上で、日本人が最速で英語を身に付ける方法を考案し、これまでに多くの日本人をペラペラにしてきました。そのメソッドを初公開し発売即重版となった話題の書が「7時間で英語が突然ハッキリ聞こえて会話が続く本」です。本書の中から、カタカナ英語と中学英語だけで、驚くほど会話がはずむようになるコツをお伝えしていきます。
一言一句漏らさずに聞くなんて、誰もやっていない
英語でペラペラと話しかけられて「何を言っているのかさっぱり分からない!」と頭を抱える人は多いのですが、相手が話す長い文章をまるごとすべて聞き取る必要はありません。それは日本人同士の日本語の会話でも同じです。恋愛中の会話は別として、日常会話では、適当に聞き流しながら要点だけをつかんで対応しているのではありませんか?
先日、日経新聞のコラムで東京大学の総長経験もある方が、英語でのフリーディスカッションの「サバイバル術」として相手の言っていることの「3割、分かればいい」と書いておられました。まさに、その通りだと思います。実際、ビジネスの現場では私でも、たとえばなまりの強いインド人の英語はなかなか聞き取れないことが多いです。それでも「何が言いたいのかな」「大事なのはここだな」と何とか会話をつないで意思の疎通に成功しています。
現在の英語人口は約15億人。そのうちの4分の3は英語を母国語としないノンネイティブ・スピーカーです。お互いに少しずつ違う英語を違う発音で話していますから、この要点をつかみ話を類推するスキルが非常に重要なのです。
日本人は英語に対するコンプレックスがあるので、相手から英語で話しかけられて、それが聞き取れないと「自分の英語力が足りないせいだ」と落ち込んだり焦ったりして、そのせいでますます聞き取れなくなるという悪循環に陥ってしまいがちですね。まずは「全部聞き取らねばならない」という“呪い”から抜け出しましょう。
とはいえ、じゃあ、どうやって相手の言っていることのポイントをつかめばいいのか? 大切なのは、自然と耳に入ってくる、つまり自分が聞き取れる言葉に注目するということです。
「点」から「線」へ想像を働かせる
ラジオから流れてくる、初めて聞く曲。1回だけですべての歌詞を記憶することはできませんよね。でも、ラブソングなのか応援歌なのか、何となくその歌のテーマらしきものはつかめるはずです。それは、耳に残るフレーズから想像を働かせているからです。
意味のよく分からない言語での会話の際も同じように考えましょう。全体を理解できなくても、いくつか印象に残る音やフレーズがあるはずです。その強調されたいくつかの「点」を想像力でつないで「線」にしていきます。
本書では、「点」から「線」につなげていくコツなどもご紹介しています。
英語のヒアリング力を高めるためには、たくさんの英語を聞いて慣れるのがいちばんだと、これまでに多くの本などで語られてきました。それは、やっぱりその通りなのですが(語学の習得には反復練習が大事!)ここで伝授したコツを使うと、ただ聞くだけのときにくらべて何倍もの効果が出ること、間違いなしです。