脱炭素の最強カード#9
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世界的なグリーンシフトが加速する中、成長に期待がかかるのは電気自動車(EV)や車載電池の市場だけではない。再生可能エネルギー拡大の鍵となる「定置用蓄電池」や「VPP(仮想発電所)」といった新しい市場に、各社が商機を見いだしているのだ。もっとも、参入企業の期待とは裏腹で、それらの普及には高い壁が立ちはだかっている。成長市場を制するプレイヤーは一体誰なのか。特集『EV・電池・半導体 脱炭素の最強カード』(全13回)の#9では、その生き残りの条件を探る。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

再エネで需要増加が必至の「定置用蓄電池」
その普及を阻むものとは

「もっと一気に市場がブレイクするかと思ったが正直なところ肩透かしだった。やはり浸透するにはまだハードルがあるということだろう」。家庭用蓄電システムで国内シェアトップのオムロン ソーシアルソリューションズ・エネルギーソリューション事業本部事業開発部の大橋勝己部長は率直にそう打ち明ける。

 電気自動車(EV)や車載用の電池と同様に、いま熱い視線が注がれるのが「定置用蓄電池」だ。太陽光発電などで生じた電気を貯めておくために使われる定置用畜電池は、電力需給の調整が必要な再生可能エネルギーの普及には欠かせない存在だ。

 定置用蓄電池には家庭用と業務・産業用があるのだが、話題先行で脚光を浴びているのは家庭用の方だ。政府が掲げるグリーン成長戦略に、車載電池とともに家庭に設置するタイプの定置用蓄電池(家庭用蓄電池)の普及が記されたからである。再エネの拡大と相まって需要増加は確実で、オムロンやパナソニック、シャープなどの電機メーカー、自動車メーカー、商社などそうそうたる顔触れの企業が商機をにらんでいるところだ。

 そうした市場拡大が見込まれる中にあって、冒頭の “肩透かし”とはどういう意味なのか。