脱炭素の最強カード#4Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

どの自動車メーカーよりも速くコロナショックから“復活”し、ケイレツのサプライヤーをホッとさせたトヨタ自動車。しかし、足元でトヨタはグループ内再編という大改革を行おうとしているようだ。「何を、どこまでやるのか」。選択と集中を断行しなければ、日本の自動車業界は「内燃機関ガラパゴス」と化してしまいそうな状況にある。特集『EV・電池・半導体 脱炭素の最強カード』(全13回)の#4では、トヨタグループで取り沙汰される“再編計画”の意図を追った。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

トヨタの大番頭がアイシン取締役に就任
落下傘人事はグループ再編の布石

 コロナショックにより、2021年3月期の上半期の自動車産業は、世界的な需要蒸発とサプライチェーンの寸断で壊滅的な影響を受けた。だが、トヨタ自動車だけは様相が違っていた。業績の「底」だった21年4〜6月時点で強気な生産計画を掲げて、不死鳥のようによみがえった。21年3月期に当期純利益1兆9000億円を稼ぐ水準まで回復する見通しだ。

 そのため、トヨタ系列のサプライヤーはホンダ系や日産自動車系などと比べても業績の回復が早い。その意味で、トヨタ系サプライヤーの“緊急事態モード”は解除されるかのように思われた。

 だが、ホッとしたのも束の間のことだった。一難去ってまた一難――。トヨタ系サプライヤーに、新たな難題が降りかかろうとしている。今年の年末を目処に、トヨタ本体とトヨタグループの主要サプライヤーを巻き込んだ“グループ大再編”が行われようとしているのだ。

 あるトヨタ系サプライヤー幹部は「今回のアイシン精機(トヨタグループの一次下請け。4月1日から「アイシン」に社名変更)の幹部人事を見てはっきリと確信した。トヨタ本体は、業務の棚卸しに本気で着手しようとしている」と言い切る。

 その布石とは、2月末に発表されたアイシンの幹部人事である。小林耕士・トヨタ取締役・執行役員がアイシンの社外取締役に就くことが決まったのだ。小林氏は豊田章男・トヨタ社長から絶大な信頼を得る、トヨタの大番頭である。

 もとより、主要サプライヤー人事におけるトヨタ支配は強まっていた。19年4月には、豊田社長自らがデンソー取締役に就任している。アイシンの社長ポストも、豊田社長の元側近同士でリレーされる。この4月に、レクサスの元開発責任者として知られる伊勢清貴氏から吉田守孝氏へバトンがつながれるのだ。

 つまり、主要サプライヤーの要所に重鎮を配置することで、強硬に聖域なき改革を断行しようとしているのだ。

 では、トヨタの重鎮クラスを総動員して行われるグループ再編とはどのようなものなのか。