日鉄物産の20年3月期売上高は2兆4803億円で鉄鋼部門がその85%を稼ぎ、繊維部門は5%。経常利益は鉄鋼が全体の67%、繊維は14%。繊維部門は売上高が小さい割に利益に貢献できているものの、鉄鋼部門と比べて見劣りする。何よりアパレル業界は不況に陥り、先行きに明るさが見えないため、今後もこの規模を維持できるか不透明だ。

「日本製鉄やうちの鉄鋼畑の人からすれば、わざわざ繊維部門を残したいとは思わないのだろう」と日鉄物産社員は言う。今のところリストラではないかと社員が疑う動きは前述のみ。まだ希望退職者の募集は実施されていない。

(ダイヤモンド編集部 松野友美)