夢はピンポイントで持たないほうがいい

──どう働くか、ですか。

奥野:「やりたいことがない」人って、「やりたいこと」が一つじゃなきゃいけないと思い込んで、方向性をめちゃくちゃ狭めているでしょう? だから、そのとっても狭い枠から少しでも外れると、「ああ、もう自分のやりたいことじゃない」と思って諦めてしまうんです。「自分はこうやって生きていくぞ」という方向性は、なるべく広く持っておいたほうがいい。軸さえ決まっていれば、自然と道は繋がってきますから。

──奥野さんは、新卒で日本長期信用銀行に入行、2003年に農林中央金庫に入庫され、2014年からは農林中金バリューインベストメンツ常務取締役(CIO)としてご活躍……と、金融のお仕事を長く続けていますが、キャリアはどのように決めたんですか?

奥野:もともと、「金融+コンサルティング」的な仕事という大きい方向性と、「成長できる場所」という基準ははっきりと決めていました。今でこそ、ファンドマネージャーとして運用の仕事をやらせてもらえていますが、それまでの間、やりたい仕事ばかりではありませんでしたよ。新卒で入社し、「絶対に安泰だ」と思っていた日本長期信用銀行が潰れるという予想外の出来事もありましたし、やりたくない仕事をやらなければならないことも多々ありました。でも、ファイナンスを軸として、「人の役に立てる人間になるんだ」という思いは常にあった。そうして目の前の仕事に取り組み続け、やってきたチャンスは逃さないように勉強や準備は続けていました。

──大きな軸を決め、そこで与えられた仕事でしっかりと結果を出す。その積み重ねが信用につながっていったんですね。では、「やりたいこと」を頑張って探す必要はない、ということでしょうか。

奥野:やりたいことを、大きな枠で持っておく、というのが大事だと思います。夢は、ピンポイントで持たないほうがいい。ピンポイントにすると叶えられませんからね。

「ありがとう」の総量がお金で評価されるのが資本主義

奥野:「人のために働くんだ」という思いさえあれば、やりたいことというのは何をやっていたって必ず見つかるんですよ。

 たとえば「営業の仕事をやりたいのに、事務の裏方仕事をやらされているから、転職しようか」と不満を言っている人がいるとしますよね。そういう人は、自分のお客様が誰なのか、わかってないんです。裏方の仕事をして外に出る機会がないのなら、「社内の人たち」に対してきちんと価値を提供すればいい。

 私も新人教育で研修をすることがよくあるんですが、「こんなはずじゃなかった」みたいな不満は必ず出ます(笑)。でも、ドンピシャでやりたいことがすぐにできると思っているほうが甘いですよ。「そんなにやりたいことがあるなら、今から自分でつくれ!」と(笑)。

 だから、ちょっとずれているからってすぐに「思っていたのと違う」と諦めるのではなく、大きな方向性は決めておいて、目の前のお客様に価値を提供する。働いていればいつか必ずチャンスはやってくるんですよ。でも、チャンスが来たときに果敢に動けるのって、「今頑張っている人」なんですよね。「人に価値を提供しよう」というマインドを持って、一つ一つの仕事を積み上げてきたかどうかで、やりたい仕事ができるのか、キャリアアップできるのか、変わってくる。

「こんなはずじゃなかった」とかね、「何をやるか」にこだわり続けている人のところにチャンスは来ないし、来たとしてもすぐに動けないから、結果に結びつかない。

「ありがとう」の総量がお金で評価されるというのが資本主義の基本原則です。本当にお金持ちになりたかったら、自分のためではなく、他人や社会に対して価値を提供すればいいんです。世の中の多くの人に「ありがとう」を言われるには何をしたらいいのかを常に考え続けていれば、おのずとキャリアアップもできるし、お金持ちになれますよ。

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