『週刊ダイヤモンド』4月17日号の第1特集は「地銀転落 メガ銀終焉 銀行『複合』危機」です。ユニゾホールディングスの危機、コロナ倒産の急増、手数料収益の減少――。銀行業界は今、収益を脅かす複数のリスクと直面しています。地方銀行が、一気に赤字転落する事態が現実味を帯び始めました。さらに、3度目の大規模なシステム障害を起こしたみずほの信用は失墜し、3メガバンク体制の終焉すら暗示させます。銀行業界に“天変地異”を招く複合危機を浮き彫りにしました。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

金融庁と日銀も調査に乗り出していた!
ユニゾの動向を金融関係者が注目する理由

地銀を赤字に突き落とす可能性も、「ユニゾ騒動」本当は誰が悪いのか
Photo:Diamond

「今年の1月か2月ごろだったかな。うちの審査担当のところに、金融庁と日本銀行が来たんです」。ある地方銀行幹部は、緊張感を持ってこう打ち明ける。

 両者がこぞって調べに来たのは、中堅不動産会社であるユニゾホールディングス(HD)だ。調査対象はユニゾHD向けの融資残高、融資の保全率、ユニゾHDの社債保有の有無などだったという。

 金融当局がなぜユニゾHDに関心を持ったのか。それは同社を巡る厳しい資金繰りの実態が明らかになり、危機に陥れば大口融資をしている地銀の業績悪化が避けられそうになかったからだ。

 実際にユニゾHDは足元で、複数回にわたって合計640億円ほどの資金繰り支援を取引先金融機関に要請しているとみられる。もし要請が予定通りに実現しなければ、今年8月には手元預金がマイナス22億円になる見込みだという。

 たとえユニゾHDが危機に陥っても、健全性を即座に脅かすほど「地銀の自己資本に大きな影響はない」(金融庁幹部)。ただ、そもそも構造不況業種と化した地銀にとっては、基礎的な収益を維持するのに苦心しており、赤字転落は避けたいところだ。

 多くの企業は、銀行団の中でも特に密接な関係性を築き、大型の資金支援の要請があれば銀行団を取りまとめる、メインバンクを据えている。

 だが、ユニゾHDにはメインバンクがいない。もともとユニゾHDはみずほ銀行系列の不動産会社で、当然のようにみずほがメインバンクだったのだが、すでにみずほからの借入金は0となり関係性が切れかかっているのだ。

 なぜユニゾHDとみずほの距離感は離れたのか。

 その背景には、みずほからユニゾHDに移った一人の男の怨嗟があるとみられている。