「知らないこと」ではなく、
「学べないこと」が問題
その事業分野についての専門知識を持たずに外部から着任した“よそ者”素人社長がもっとも頼りにすべき存在は、誰でもない、その会社で働いている従業員たちです。
その会社でのキャリアという意味では、自分は「社長」という役職に配属されただけの「新入社員」の一人。そして従業員はみな、自分の「先輩」でもあるのです。
ならば、
「自分にとっては初めての業種(会社)で知らないことばかり。みなさんのほうが先輩なので、いろいろ教えてください」
最初からこのくらいのことを、堂々と言ってしまうほうがいい。
卑屈になる必要はありません。会社や仕事に関して知らないことを素直に、謙虚に、先輩から教えてもらうだけ。何ひとつ恥ずかしいことなどないのですから。
誰でも最初は素人。ならば、新たな業界と会社の事業特性をいち早く理解して、すぐに経営に活かしていくことは、むしろ経営者としての腕の見せどころでもあります。
リーダーにとって「知らないこと」は、さほど問題ではありません。それよりも、自分のキャリアにこだわって学ばないこと、知らないことを謙虚に学べない姿勢のほうがよほど問題なのです。
※「よそ者リーダーとはどんな人か」「よそ者リーダーが身につけたい3つの心構えやマネジメントとは何か」については、本連載の第1回も併せてご覧いただければと思います。
(次回は、新任リーダーがわきまえる「分」についてお伝えします)