必用な温室効果ガス削減量は
これまでの約1.5倍

 このように脱炭素化は世の中を大きく変える。特筆すべきはまず、コストの増加だ。要因として、化石燃料依存からの脱却と、温室効果ガスの削減強化が挙げられる。

 わが国の発電は化石燃料に依存している。2019年度の発電量の75.7%が石炭、天然ガス、石油等に由来する。政府は2030年度の温室効果ガス46%削減を達成するために、太陽光など再生可能エネルギーの割合を全体の30%台後半に引き上げて、火力発電を減らしたい。その費用は主に家計の負担によってカバーされるだろう。

 次に、わが国は温室効果ガスの排出削減を強化しなければならない。国立環境研究所によると、2019年度のわが国の温室効果ガス排出量は12.1億トンだった。政府は2030年度までに排出量を7.6億トンに抑えようとしているので、必要な温室効果ガスの削減量は4.5億トンだ。なお、排出量の約39%を発電などのエネルギー転換部門、25%を産業部門、18%を運輸部門が占める。

 2014年度から2019年度までの間、温室効果ガスの削減量は年度平均で約3000万トンだった。2020年度の排出量が11.8億トンだったと仮定すると、今後10年の間に、わが国は温室効果ガスの排出を4.2億トン削減しなければならない。年度に直すと毎年度4200万トン、これまでの年度平均の約1.5倍の削減が必要だ。

 法人企業統計調査のデータから、金融・保険を除くわが国企業の営業利益の推移を確認すると、1989年度から2019年度までの営業利益の変化率は年度平均で、製造業でプラス4%、非製造業でプラス2%である。基本的にわが国経済は自動車、機械、素材など製造業の生産性改善によって成長を実現してきた。

 2030年度までとなると、あまり時間がなく、かなり早急かつ強力な取り組みが不可欠だ。企業は既存の設備の改修、技術の改良など、さらなる取り組みを進めなければならない。それは、企業のコストを増加させる。