ベッドはお金の損失を防ぎ、地震対策にもなる
――布団で寝ていると、お金を損しているという記述にはドキッとしました。
石阪:家族4人がお布団で寝ていると、約6畳のスペースが必要になります。さらにその布団をしまうスペースが必要です。
それをベッドに替えてベッド下を有効活用したら、6畳分のスペースを確保できることになりますし布団をしまうスペースにも他のモノを収納することができるでしょう。東京の都心に住まわれている、ある生徒さんの場合は、坪単価で計算すると約3坪、およそ300万円以上の損失になっていました。
――それはすごいですね。でも、ベッドは場所が固定されますけど、布団は畳めば、昼間はそこが空きますよね。そのほうがお得な気もするのですが?
石阪:もちろん、モノが少なければクローゼットや押し入れに布団をしまうこともできますからよいのです。
ですが、そのために生活必需品や災害備蓄品などがしまえないと困りますよね。その場合は、ベッド下を収納として使えば、既存の収納を有効につかえます。ベッド下を使えば、収納が少ないお家でも衣類用のタンスや、本棚を置かなくてもよくなるので、部屋を広く安全に使うことができるんです。布団だと「布団をしく場所+しまう場所」という両方が必要ですが、ベッドだったら1.5畳だけで済みますのでスペースを有効活用できるんです。
ただし、布団同様にベッドでも湿気対策は必要です。私は、朝起きたら布団乾燥機を布団につっこんでスイッチオンで乾燥させています。毎日ふかふかの気持ちの良いお布団で就寝することができますよ。
もうひとつ、布団をやめてベッドにするメリットのひとつに、地震対策という面があります。阪神大震災に遭われた方とお話した時に、その方は、住んでいたマンションの1階がぺしゃんこになり、命からがら逃げ助かられたのですが、亡くなられた方の大半は、家具の下敷きになられたと。「ベッドなら、タンスが倒れてきても角に当たって直接倒れてこない。だから自分は絶対にベッド派です」とおっしゃっていました。そういう危険を考えると、ベッドで解決するなら安いものだと思います。
片づけることで足かせを外し、もっとラクに生きる
――布団で寝ていること以外に、片づけられない人のライフスタイル的な共通点はありますか?
石阪:家事もモノの管理も、全て自分で把握してやらなければという思いから、子どもさんの学習用品、おもちゃ、家族の衣類やカバンなどをリビング一室に全て置かれているご家庭は非常に多いですね。
そして、いつか子ども部屋にしたかった部屋は物置部屋になり、その部屋にも、おもちゃや、衣類、とりあえず置いておいた季節のモノなど家族共有のモノや大人のモノが入り混じっています。
部屋を誰が使うかが明確に分かれていないと、個人のモノが分散してモノの総量が把握できませんので、これが、モノが増え、本来収納すべきスペースからモノが溢れている要因になっています。
私が、パブリックとプライベートの部屋を分け、夫婦の寝室、子ども部屋、家族共有の部屋と明確に分けることからお片づけをスタートさせるのはそのためです。
お子さんが小さいうちから子ども部屋を作り、一人で自分のことができるような仕組みを作ることで、大人も助かりますし、お子さんを自立に導く子育てができるようになりますよ。1歳半のお子さんを持つお母様からは、自分で、部屋におもちゃを運んだあとしまうことができたと喜びのご報告をいただくなどお子さんの変化が届いています。
自分だけがモノのありかを把握していると、一人で家事も育児も自分でしなきゃと抱え込んでしまうことになりますが、自分のことは自分でできる仕組みをつくり、家族で協力できるようになると、ゆとりのある暮らしにつながりますね。
――自分一人で抱え込まないことが大切なんですね。
石阪:「私がやらなきゃ」「自分が頑張らなきゃ」と、自分を追い込むのではなく、家族が協力しやすい仕組みを作ることがまずは生活の基礎ですね。
スペースを区切り、管理できるモノの量にすることで、重い足かせが取れるように楽になっていきます。
気楽に暮らしを整えられるようにすることが、片づけの目的だと思っています。