「考える時間」と「行動する時間」を分ける
――忙しくて片づける時間がない人はどうすればいいですか?
石阪:時間がない人は、「考える時間」と「行動する時間」を分けます。どっちも一緒にやろうとすると、くたくたになってしまうので、結局全然片づいていないということがよくあります。なので「考える時間」の間に、部屋や収納スペースの写真を撮って、写真の画像に「捨てる=赤丸」「売る=青丸」「寄付する=黄丸」など、マークしておくんです。そして、行動できる日に、一気に何も考えずに、赤丸はゴミ袋に捨てる、青丸は袋にまとめておくという風にやっていくというのが、忙しい人が一番疲れない方法です。
片づけを始める前に「家族会議」で思いを共有する
――家族が協力してくれない場合はどうすればいいですか?
石阪:片づけを始める前に、必ず家族会議をしてください。それぞれの理想の暮らしについて話し合うんです。たとえ協力してくれなくても、家族会議をして一応宣言をしておくということが大切です。そうしないと「なんか勝手に部屋を荒らされてる」となって、しらけてしまうことがあるので。
――思いを伝えることが大切なんですね。
石阪:そうですね。家族なのに本音で話していないご家庭が多いと感じています。片づけレッスンで伺った時に、「家が散らかっていて喧嘩になることはありませんか?」と聞くと、「なんか言うと、僕も言われるでしょう」みたいな。そういうことでズルズル、本音を言わずにやり過ごしているご家庭は意外と多いのかもしれません。
――散らかっていてもお互い意見を言わずに喧嘩を避けるというのは、ちょっと不思議な気がします。
石阪:皆さんお忙しいから、お互い不満を感じていても、タイミングが合わなかったり遠慮があったりして、散らかっている部屋をどうしようかという話は後回しになって、じっくり本音で話をする時間がないようですね。
ですが、大事なモノがみつからないとか、誰かの体調がわるくなったり、家族関係でイライラが増えてきたりとか、何か事件があって爆発しちゃうんです。
だけどそうなる前に、時間を作って「こうしたほうがあなたにもいいと思うよ」とか「こんなおうちがあるんだけど、うちと間取りが似てるから、こういう部屋の使い方をしたらうちもきれいに片づくと思うよ」とか、間取り図をもとに、理想のお部屋の写真などをみながら具体的にどうすればいいのかを伝えることが大切です。プレゼンみたいなものですね。
――ちゃんと道筋を示して共有するということですね。
石阪:はい。ただ単に「片づけをしたい」と提案すると、俺のモノを捨てられるとか、私が責められているとか、マイナスなイメージを持つ人もいるでしょう。
そうではなく、片づけをするお互いの目的や、メリットを明確にして、ゴールを具体的にイメージし、3日片づけの進め方を確認しながらそこへ向かって進めば、行き当たりばったりにならない片づけができ、家族の絆も深まっていくんですよ。
片づけアドバイザー 宅地建物取引士 JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー
大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片づかないことで理想の暮らしができないと諦めている多くの人に出会う。自分にできることはないかと女性目線での建築設計、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけを提案。独自のメソッドは、一度やれば絶対にリバウンドしないのが特徴で、これまで様々な片づけ方法を試してきた人たちの「最後の駆け込み寺」となっている。同メソッドで片づけに成功した人は1000人を超える。