片づけのスイッチを入れる方法とは?
――片づけられない人が、片づけられるようになるためにはどうしたらいいですか?
石阪:この記事を読んでくださっている方も、きっと、今の自分は本来の自分ではない、何かを変えたいという思いがあって、糸口を探す中で、この記事に行き当たったんだと思います。
なので、本当は自分はどんなことがしたいのか、どんな人生を歩みたいのかということを書き出してみるというのが、すごく大事だと思います。それがスイッチが入るまず一歩。
――片づけるために自分の人生と向き合うというのは、新鮮な考え方ですね。
石阪:残りの人生、あと何年生きられるかわからないじゃないですか。
例えば私の場合、母は寝たきりなんですけども、今朝、豚の角煮を食べたいって言われたんですね。
もしかしたら明日母に何か急変があるかもしれない。また私が事故などに遭ってしまうかもしれない。そうなった時に、早く作ってあげればよかったと思うのはすごく残念なので、今もダイニングで角煮を作りながらこの取材(zoomのオンライン取材)を受けてるんですよ(笑)
「時間には限りがある」と思うのは、動く原動力になるんじゃないかなと思います。
それと生徒さんによく言うのは、「散らかったまま、ずっとこの気持ちのまま行く最悪の未来」と「片づけをしてやりたいことをどんどんやって、もしかしたらすごく飛躍するかもしれない未来」、どっちがいいのかをまず想像していただくんですよ。
行動に移すために、まず心を動かす
――一般的な片づけは、本があふれているから本棚を買おうとか、もっと手近なところを片づけといっている気がするんですけど、石阪さんの片づけは、すごく深いところを想定されているんですね。
石阪:そうですね。強い原動力がなければ苦手な片づけに挑めないと思うんです。
心が動かないと行動に繋がらないので。
いくらあんなことしたいなと思っていても、切羽つまらないと人ってなかなか動けないでしょう。試験前みたいなものですね。時間がない、やっておかないと後で大変なことになるとイメージしてみること、そしてトライアンドエラーの気持ちをもって挑戦することですね。
皆さん心のどこかで、このままだったら老後に困るだろうなぁとか、お金の管理ができてないから不安だなあとか、子どもたちに、整った暮らしをちゃんと教えられてないなあとか、うっすらとした不安があるんだと思います。
でも、そこと向き合って頑張って片づけて、そういう現状を改善すると、もう1回勉強したいとか、資格を取りたいとか大変だった片づけを乗り越えたことが自信となって、どんどん人生の新しい扉を開いていかれるんですよ。
狭くて収納が少ない家も「スペースを分ける」とスッキリ片づく
――じゃぁ、それで片づけスイッチが入りました。とはいえ、現実的な問題として、片づけられない原因って色々あると思うんですね。家が狭くて収納もないとか、時間がないとか、家族が協力してくれないとか。そういったものにはどう対処したらいいですか?
石阪:どんなに小さなおうちでも、スペースをパブリックスペースとプライベートスペースに分けて、モノの数をしぼれば必ず片づきます。
――パブリックスペースとプライベートスペースを分けるというのは、本でも説明されていましたね。ユニークな考え方で驚きました。
石阪:はい。大学の寮生活のようなイメージですね。隣の部屋に自分の荷物を置く人はいないですよね。そうやって「ここが私のスペース」と決めて、置けるモノの量を認識できるようになれば、二度と散らかることはありません。