マーケットフォーカスPhoto:PIXTA

過去の業績予想のデータは工夫すれば個人でも入手できる。過去予想に基づきPERを計算し、現在の株価を分析することは投資判断に役立つ。その観点から見れば業績が回復過程にある、現在の日本の株価は割安な水準にあるとみる。下落したからといって、それだけの理由で投資判断を変える必要はない(UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド 居林 通)

過去の業績予想データで
平均PERを計算する

 筆者は長年、機関投資家として投資判断を行い、同時に個人投資家の方の投資判断もお聞きする機会に恵まれてきた。一体、機関投資家と個人投資家の投資判断プロセスは何が違うのだろうか。私は株価を業績に基づいた「妥当な部分」とそれ以外の「期待値の部分」に分解して投資判断ができるかだと考えている。

 実は、この違いは業績予想のデータを使っているか、そうでないかの違いでもある。つまり、機関投資はまず間違いなく業績予想データを(過去分も)持っていて、過去の業績予想に比較して株価は何倍で取引されてきたのか、という平均PER(株価収益率)を重要な局面ごとに計算しているが、個人投資家の場合は業績予想データを活用していないことが多いと思われる。

 特に過去分の業績予想データを持っていないと、仮に現在のPERがわかっても過去と比べてそれが高いのか安いのか、という判断をつけるのが難しい。

 ここで言う業績予想は会社の出している今期の業績予想ではなく業績予想を公表しているアナリストの予想の平均(もしくは中央値)である。このような数値の過去分のデータを個人投資家が入手することは通常難しいが、有償ではあるがデータベースによっては個人でも手の届く対価で入手が可能である。もしくは個人でも入手可能なアナリストレポートに記載がある場合もあるのでぜひ活用していただきたい。