そして、議論を通じて提案内容を多角的に検証することでブラッシュアップ。最終的には、マネジャーである私が採否を決するわけですが、このプロセスを踏むことによって、自動的に意思決定の精度は上がります。こうして、最速で精度の高い意思決定が可能になるプロセスを確立。さらに、これをもとに最速のPDCA を回すことで、生産性の向上を図ったのです。
この会議手法がうまく回り始めると、チームの意思決定回数が倍増。それに比例して、チームの生産性もどんどん高まっていきました。それに関心をもった社内のマネジャーから、社内プレゼンのやり方や会議術を教えてほしいと頼まれることも増えていったのです。
「上層部の会議」を攻略する
ただし、チーム会議を改善するだけでは十分ではありません。
なぜなら、マネジャーの権限において意思決定できることであれば、チーム会議で完結することができますが、課長クラスであれば、その権限領域は非常に限られているからです。チーム会議で決定した案件を、上層部に認めてもらわなければ、意思決定が完結しないケースが非常に多いのです。
私も、ここで何度も躓(つまず)きました。せっかく、メンバーが一生懸命考えてくれた提案を、私の力不足で「上層部の会議」で差し戻されてしまえば、その間、プロジェクトを動かすことができないうえに、メンバーに二度手間三度手間をかけることになってしまいます。それでは、チームの生産性が低下するうえに、メンバーからの信頼までも失いかねません。
だから、そのような事態をできる限り少なくするために、常日頃から万全の準備を整えるように心がけるようになりました。直属の上司との信頼関係を盤石(ばんじゃく)なものにするとともに、他部署との協力関係を築くことによって、社内における信頼を勝ち取る。「経営会議」に参加するチャンスをつくり、そこでの意思決定のプロセスを観察する……。そのような努力を重ねることで、何度も失敗をしながらも、少しずつ「上層部の会議」において一発でGO サインを勝ち取るコツを身につけていったのです。