「最高品質の会議術」がキャリアを拓く
これができるようになると、状況は劇的に変わっていきました。まず、チームのメンバーたちのモチベーションの向上です。自分たちの提案が次々に実現していくわけですから、仕事が面白くなるのも当然。そして、意欲的に仕事に取り組むからこそ、生産性が上がり、成果も上がりやすくなる。その結果、さらにモチベーションを高めるという好循環が回り始めたのです。
さらに、私のチームの意思決定スピードが速く、生産性も高いことを見込んだ上司が、上層部から有望な事業を引っ張ってきて、私のチームに任せてくれるようになりました。こうなると、他部署の若手も「前田さんのところに行けば面白い仕事ができる」と、私のチームに異動願いを出してくれるようになりますから、やる気があって優秀なメンバーが増加。新規事業でも、次々と成果を生み出すことができるようになっていったのです。
そして、上層部の評価を勝ち得た私の上司が出世するにともない、私も新しいステージに引き上げていただくことができました。しかも、ちょうどそのころ立ち上がった、ソフトバンクグループ孫正義社長の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」の第1期生にも選抜。孫社長に直接プレゼンした事業提案が評価され、グループ会社の役員を兼務するなど仕事の幅を大きく広げることができたのです。
こうして、私のキャリアは拓けていったのですが、その出発点には、試行錯誤しながら磨き上げた「会議術」があったのです。
本書は、私が実践を通して確立し、ソフトバンク在職時に効果を実証した「最高品質の会議術」をまとめたものです。
私は、2013年にソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)を退職。独立後に出版した『社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)が10万部を超えるヒットとなったこともあり、ソフトバンク、ヤフー、ベネッセコーポレーションをはじめ数多くの企業から「社内プレゼン」の研修を依頼されてきました。社内の意思決定スピードを上げたいというのが皆様の動機でしたが、研修も終盤に差し掛かると、実に多くのマネジャーの方々から「会議術についても教えてほしい」との要望をいただきました。
そこには、「なんとか自分のチーム、さらには会社の意思決定スピードを上げて、生産性を最大化したい」という切実な思いが込められていました。その思いに応えるために、この本をまとめた次第です。
本書を参考に「会議術」を磨いていただき、メンバーの力を最大限に引き出すとともに、ご自身のキャリアを大きく切り拓いていただければ、それに勝る喜びはありません。
2018年3月 前田鎌利