わが子にピッタリ!塾・予備校&家庭教師・オンライン教材選び#8Photo:PIXTA

自宅でマンツーマンかつオーダーメードの指導ができる家庭教師は、志望校合格や苦手教科克服の「切り札」といる存在だ。だが、一口に家庭教師と言ってもプロからご近所の大学生まで、その選択肢は幅広い。特集『わが子にピッタリ!塾・予備校&家庭教師・オンライン教材選び』(全22回)の#8では、「プロ家庭教師集団 名門指導会代表」の西村則康氏に、失敗しない家庭教師の選び方を聞いた。個々の家庭教師のみならず、派遣会社の見分け方、オンライン家庭教師の効果の程は?(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

子どもの苦手教科の克服は
学生バイトではできない

――完全オーダーメードの指導だけに、学習塾以上に家庭教師の選び方は難しいですが、良い家庭教師を選ぶコツはありますか?

 まず、何よりもその家庭教師の力量の見極めが重要です。当然、家庭教師の力量レベルにも差があり、しかもその差は、塾講師のそれよりも大きいです。

 親が家庭教師に求めるニーズに即して説明すると、「子どもが分からない問題について、その解き方を教えてほしい」という最も単純な要望であれば、その教科の知識がある大学生のアルバイトでもいい。

 ですが、最近よく寄せられるニーズで、例えば「算数という教科そのものが苦手」といった苦手教科の克服になると、学生バイトの家庭教師をいくら付けても満足のいく結果はまず得られないでしょう。

 なぜなら苦手教科を克服させるには、「なぜ苦手なのか」「どこが苦手なのか」「どこをどうすれば克服できるのか」、さらには「いつまでに克服すればいいのか」といったことを全て考えて指導する力量が求められるからです。

西村則康にしむら・のりやす/1954年生まれ。現職のほか「塾ソムリエ」としても活躍。中学受験情報局主任相談員。35年以上、難関中学・高校受験指導を行う。男女御三家や灘など東西の難関校に合格させた生徒は2500人以上。『中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ 算数』(青春出版社)など著書多数。

 また、同じく多いニーズとして、「子どもは勉強しているのに、ミスが多くて成績が上がらない」というものがあります。

 この場合も、「どんなミスが多いのか」「原因は何か」「対策はどうするのか」などを分析しなければなりません。しかも、子どもの教科そのものの学力とマインドの両方を考える必要があります。例えば計算問題を解く場合、どこでミスをしているかを見つけ、子どもはどういう気持ちでその問題に臨んでいるのかまで見抜けなければなりません。算数なら計算力だけでなく問題文を理解する国語力、「読み取りの力」も見る。

 そうした高度な分析をするにはどうしてもプロの力が不可欠です。ただし、自称プロではなく、“本物”のプロ家庭教師を見極める必要があります(ポイント〈1〉)。

――プロ家庭教師派遣会社はあまたありますが、本物のプロ家庭教師は少ないのですか?

 例えば、われわれ「名門指導会」の採用試験には、それなりの指導実績を持つ家庭教師の方が数百人と応募してきますが、採用率は2%未満です。皆さん教科の知識は十分なのですが、本物のプロ家庭教師といえる人はそれくらい少ない。

――2%未満ですか……。知識は十分だとすると何が足らないのでしょうか。

 先ほど挙げた原因を探る力やその対策を考える力。加えて重要なのが、コミュニケーション能力の高さです。実は、子どもが自発的に勉強するかしないかは、親次第という部分が大きい。なので、家庭教師は親にどう関わるかも問われます。