「心の専門家」としての資格は、これまで「臨床心理士」をはじめとする民間資格だけであったが、2017年に新たな国家資格として「公認心理師」が誕生した。その受験資格には、原則として大学と大学院で計6年間学ぶことが求められる。特集『わが子にピッタリ!塾・予備校&家庭教師・オンライン教材選び』(全22回)の#21では、国家資格誕生で注目を浴びる心理系大学院の選び方を紹介する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
心理系学部卒以外の社会人は
臨床心理士を目指すのが一般的
現代社会における人々の“心”の健康問題の急増がクローズアップされて久しいが、それに対応できる「心の専門家」には数多くの資格が存在する。
だが日本において、明確な基準の下で専門の訓練を受け、さらに厳格な試験を突破する必要がある心理専門職の資格は二つだ。日本臨床心理士資格認定協会の民間資格「臨床心理士」と、2018年から資格試験が始まった国家資格「公認心理師」である。特に後者は、法的根拠に基づく初の心理専門職だけに注目されている。
下表と下図は、それぞれの資格の特徴と試験の状況をまとめたものだ。
共に資格試験の受験資格を得るための方法は、大学院(修士課程)で所定のカリキュラムを修めるのが一般的だ。そして、公認心理師は心理系学部卒業が要件になるが、臨床心理士は心理系学部以外の卒業者でも臨床心理士指定大学院を修了すれば受験資格を得られるという違いがある。それ故、大学院受験予備校、河合塾KALSの心理系大学院受験コースの受講者の「およそ3割が臨床心理士を目指す社会人や既卒者」(河合塾KALS)だという。
ただし、臨床心理士指定大学院のほとんどは、公認心理師の受験資格取得にも対応しており、いずれの資格を目指すにせよ、その大学院選びにそう大差ない。
重要なポイントは、「資格取得後に自分がどのような仕事をしたいか」によって、大学院選びが変わってくるということ。では、さっそくその選び方を見てみよう。