空前の医学部人気が続く中、国公立大学医学部はもちろん、あらゆる私立大学医学部が狭き門となって久しい。「勉強はそれほど得意でないが最低限でも中堅私大に。あわよくば医学部も狙わせたい」――。子どもの未来にそんな希望を抱く親にうってつけなのが、医学部を擁する中堅私立総合大の付属校からの内部推薦を利用した医学部進学だ。特集『MARCH・関関同立に下克上なるか!?日東駒専&産近甲龍』(全19回)の#7では、普段は表に出ない日本大学や近畿大学などの医学部への内部推薦事情を徹底解剖する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
内部推薦で医学部がチャンス!
表に出ない選抜の方法を公開
慶應義塾大学医学部を頂点とする私立大学医学部――。慶應と同じく「日東駒専」の日本大学と「産近甲龍」の近畿大学も医学部を擁しており、他学部と同じく私大医学部における中堅どころとして位置付けられている。だが、一般入試における難易度は、他学部と大きく一線を画す。
「予備校が出す偏差値では、日大医、近大医共に早慶の理工系学部と同程度の難易度で、かなりの難関となっている」と言うのは、医系専門予備校メディカルラボの可児良友本部教務統括だ。その上、「日大医は2022年度入試から試験が変更されて全学統一入試方式になるが、近大医などの私大医学部の入試問題の多くは医学科独自に作成されるため、他の理系学部よりも難問が出題される」(同)という。また、一般選抜における合格倍率は、空前の医学部人気を背景に10倍を大きく超えるのが当たり前となっている。
だが、学科試験なしで、もしくは一般受験の合格ボーダーラインに及ばない学力でも、日大医や近大医などに進学可能なルートが存在する。各大学の付属高校からの内部推薦だ。
「私大医合格を目的とするなら、難化する一般選抜に比べると付属校からの内部推薦の方が受かりやすく、かつ挑戦の回数が増えるという意味でチャンスも広がる」と可児氏。
付属校から医学部への内部推薦といえば、内部進学率が90%超と「ほぼ全入」の川崎医科大学がよく知られている。だが、学費の高さも有名で、学部6年間だけで総額4700万円超。もともと高額な学費がかかる私大医学部の中でも群を抜く。また、当然ながら単科大学であるため、子どもの興味が他の学問に移っても内部推薦で進学する学部を選べない。
そこで次ページから、中学・高校受験で慶應大付属校への進学は学力的に厳しいが、あわよくば医学部への内部推薦を狙いたいという層にお薦めの中堅私立総合大として、日大、近大、東海大学、福岡大学をピックアップ。つまり、受かりやすい上に、子どもの選択肢の幅も狭めないお得な付属校&大学たちだ。
付属校推薦状況の比較表と共に、内部推薦事情について、選抜方法や難易度など表には出ない情報をお届けする。