やったことがないことを、やってみるマインドが大事

新しい発想やアイデアがほしいとき、試してほしい効果的な方法太刀川英輔氏と細尾真孝氏

太刀川 僕からお伝えしたいことは、2つあります。ひとつは「偶発性を大事にする」ということです。細尾君はネイティブでできている珍しいタイプで、多動性をどうやって手に入れたのかというのは、個人の性格とか、学生時代の遊び方とか、そういうところにも結構由来するような気がするんだけど……。

細尾 元ミュージシャンだからとか?

太刀川 そうそう。細尾君は家業を継ぐ前はプロミュージシャンだったよね。そういう「やったことがないことをやってみよう」というマインドは、日常の中にたくさん実践の場があるはずなんです。

 たとえば、通ったことがない道で帰るとか、食べたことないものを食べるとか。偶然が自分の人生を豊かにするかもしれないと気づいているかどうかは、結構大きな違いとしてあると思います。やったことがないことに対して何となく消極的な人って、非創造的なことが多いんです。それは、才能が無いからとかじゃなくて、ただ新しいことに消極的だからなんです。

細尾 そうかもしれないですね。

太刀川 あと2つ目は、「言葉を疑う」ということ。物の概念って、固定観念として名前になっているんですよね。たとえば、こういう物(取材時のICレコーダーを指差して)をみると、誰もがICレコーダーだと思い込んでいる。他にも、布を見ると着物だとか。でも、布がICレコーダーだったり、スピーカーだったりするかもしれない。

 また、ICレコーダーを分解していくと、マイクとか、スピーカーとか、ディスプレイとかがで出てきますよね。そうすると、これはスマホと共通していると気づき、こいつがなぜスマホに取って変わられようとしているのかがわかるんです。

 何が言いたいのかというと、ゲシュタルト崩壊というか、「ずっと見続けていたら、なんか他の物に見えてきてしまった」みたいな感覚がすごく重要だということです。名前を疑って、その中を探求していったときに、そのものとは違うものに見えてきたとしたら、それはきっと創造性の第一歩なんです。

細尾 面白いですね。