みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#31では、金融危機後のみずほにフォーカスする。2003年に取引先などを引受先とする1兆円増資を実施したみずほは6年後、その「呪縛」故に普通株による6000億円増資の方針を発表せざるを得なくなった。当時のみずほを追い込んだ事情とは何か。
みずほ「1兆円増資」の呪縛で
6000億円の追加増資を発表
みずほフィナンシャルグループ(FG)は来年2010年5月までに最大で6000億円の普通株を発行し、併せて、優先出資証券も約2000億円発行する方針を発表した。
同社は2003年、巨額の不良債権を処理するため、取引先などに対して普通株に転換できる優先株を発行し、「1兆円増資」を行なった。その後、優先株の転換による希薄化を避けるため、2008年秋までは自社株買いを進めていた。
今後、仮に普通株を6000億円増資すれば、現在の株価水準で計算すると、発行済み株式数は約2割増え、一株当たり利益が希薄化する。株価上昇につながる成長戦略を示せなければ、既存株主から批判が高まる恐れもある。