マンション価格が高騰し続けるバブルのような状態、
弾けるのはいつか?
牧野 さらにとどめとして、おそらく参議院議員選挙の後に大増税がきます。コロナ対策で、これだけばら撒いちゃったからね。税収が全く足りない状態なので。今、ギリギリで住宅を何とかして買いたいという人にとっては厳しくなると思います。
日下部 大増税ですか…。それに今、金利を上げてしまうと、潰れてしまう会社とかもかなり出てきそうですね。
牧野 金利を上げると破綻する企業もあるし、それから、住宅ローンを変動金利で借りている人たちも生活が厳しくなる。だけど国として今、金利を上げるというインセンティブはどこにもない。だから上げられない。
日下部 とうとう三菱UFJ銀行など、大手5行が住宅ローン金利0.05~0.1%の引き上げを発表しましたが、大幅に上げるとなると厳しいでしょうね。
牧野 コロナが過ぎ去った後、欧米は間違いなく金利を上げてきます。日本がこの流れについていけないと、円がもっと安くなってしまうのです。この悪循環が、世の中が変化する最大のポイント。僕の今までの経験則だけど、不動産は半年くらい遅れて影響が出てくるんです。こうした兆しが出てきて半年以降の不動産マーケットは、注視しておかないといけません。
日下部 投資・転売・節税でマンション価格が上がり続けているバブルのような状態は、近いうちに弾けるかもしれないということですよね。ただ、新築を建てる計画を今すぐ止められるわけでなないので、やっぱり2~3年は不動産業界で不思議な状態が続いて、庶民の家計は苦しくなる、ということですかね。
牧野 そこまで続くかどうかも、ちょっと分からない。
日下部 2~3年もいかないかもしれない?
牧野 いかないかもしれない。僕は、J-REIT(不動産投資信託)の社長をやってきた頃から、投資家とはかなりたくさん付き合ってきていますけど、彼らの投資の判断はものすごく速いので、引くとなると一斉に引いてしまう。日本だけ通貨安がずっと続くと、確かに「お買い得だね」と言って買う人はいるかもしれない。でも、日本の景気や経済状態があまり良く無くなってくると、彼らは当然キャップレート(還元利回り)で判断するので、「リスクプレミアムをもっと乗せないと日本は危ないね」ということになり求める利回りを高くする、つまり価格は下がる、ということになります。そこの転換点がどこで現れるかっていうところを、僕はすごく注視しています。
不動産マーケットの世界って必ず場面って変わるんです。2022年は、ものすごく注目しているところです。
つづく