活況の時代ほど慎重に!
中古マンションの騙されない買い方
住宅ジャーナリスト、マンショントレンド評論家
第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。不動産総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」代表。管理組合の相談や顧問業務、数多くの調査から既存マンションの実態に精通する。また、新築マンション情報など、マンショントレンドにも見識が深い。各種メディア、講演会・セミナーで活躍中。主な著書に、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』(小学館)、『マンション管理・修繕・建替え大全 2021』(朝日新聞出版)ほか多数。
日下部 立地を重視して東京・港区などで安い中古マンションを探すとなると、築40年を超える築古になるので旧耐震が気になるところですね。
牧野 僕は旧耐震・新耐震と言うよりも、地盤。マンションでも戸建てでも、地盤で判断します。今後の災害発生の確率を考えると、地盤の状態をしっかり
日下部 中古マンションは今、争奪戦になっていますよね。歯抜けで出てきたときに、瞬速で決めないと買えない。港区・中央区・千代田区あたりだったら、たとえば60平米で築浅で6000万円で売りに出たら3日ぐらいで速攻売れちゃうみたいな状況が続いています。新築だと考える時間もあるし、説明もいろいろとしてくれるので、「持ち帰って検討します」みたいにできるのですが、争奪戦だとそれができない。もちろん目星は付けて置くんでしょうけど、パッと出てきた個々の物件に対してどこまで判断できるかは悩ましいですね。
牧野 日下部さんがおっしゃるように、目星をつけるというか、予習しておくといいですよね。まあ不動産業者も悪いんですけど、「早く買わないとなくなるよ」と背中を押すので。だから、エリアを決め打ちしておくとか、予習をしておいてそれ以外の物件情報にはあまり手を出さないようにするとか、売り手に惑わされないやり方でいかないと。今のように活況の時代って、どうしても騙されがちですよね。活況な時代ほど慎重に行くべきなんです。
日下部 下手をすると、えらい高いものを買ってしまい、火傷しそうな時期ですよね。
牧野 売主の立場で考えると、ちょっと厄介者になっている不動産を売るチャンスでもあるんですよ。騙されるって言ったら表現が悪いけど、マーケットがヒートアップして買いたい症候群になっている人がいるうちに、自分にとって厄介者の不動産は売る最大のチャンスです。
日下部 駅から離れているとか、家族から相続した古い戸建やマンションとかね。確かにそうですね。
牧野 うん。買う人がいるというのは、売る人がいるから成り立つので。買いがヒートアップしているときは資産性がすごく高いものを売ると考えがちだけど、僕は逆に考えています。「資産性の低いものを自分のポートフォリオから外すチャンスだ」と、捉えることもできるんです。