大切な人を亡くした後、残された家族には膨大な量の手続が待っています。しかし手続を放置すると、過料(金銭を徴収する制裁)が生じるケースもあり、要注意です。
また国税庁によれば、2019年7月~2020年6月において、税務調査を受けた家庭の85.3%が修正となり、1件当たりの平均追徴課税(申告ミス等により追加で課税される税金)は、なんと641万円でした。税務署は「不慣れだったため、計算を間違えてしまった」という人でも容赦しません。
本連載では「身近な人が亡くなった後の全手続」を、実務の流れ・必要書類・税務面での注意点など含め、あますところなく解説します。著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。税理士法人の代表でもあり、相続の相談実績は5000人を超えます。この度『ぶっちゃけ相続「手続大全」 相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を出版し、葬儀、年金、保険、名義変更、不動産、遺言書、認知症対策と、あらゆる観点から、相続手続のカンドコロを伝えています。
臨終から葬儀までの流れを解説
まず、故人が病院で亡くなった場合と、それ以外の場所で亡くなった場合で流れが異なります。
病院で亡くなった場合は、医師が死亡確認を行い、霊安室に運ばれます。
一方、自宅などの病院以外の場所で亡くなった場合は、かかりつけ医に来てもらうか、救急車を呼びましょう。
突然死や事故の場合は警察にも連絡する必要があります。検視が必要と判断された場合、ご遺体は警察署に運ばれます。
ご遺体は病院や警察署で長時間保管することはできません。自宅か遺体安置所に搬送するように伝えられます。一般的に、遺体の搬送は葬儀社が行ってくれます。あらかじめ決めている葬儀社があれば、その会社に連絡をし、決まっていなければ急いで葬儀社を決める必要があります。
葬儀社とは?
葬儀社とは、これから執り行う葬儀をプロデュースする会社のことをいいます。混同される方が多いのが、斎場(さいじょう)会社です。斎場は、葬儀や火葬を行う場所で、民営のものと公営のものがあります。
価格は安いが、予約が取りにくいのが公営の斎場。価格は高いが、設備等が優れているのが民営の斎場という傾向があります。最初に葬儀社と連絡を取り、打ち合わせの中で希望の斎場を選びましょう。