成果を先に求めてはダメな理由

 また別の観点で例を挙げると、働くという言葉がある。「働く」を平仮名に直すと「はた・らく」で「はた(周囲)を楽にする」事になる。「仕事」も「働く事」も本来は、ノルマ達成をする・儲けるといった我欲がない領域を意味するのだ。

 仕事の場で出会うすべての方々のお役に立とうとして、お支えする・お守りする意識で臨むべきだと教えている。それができた者が、東の逆に位置する西の義徳とバランスがとれるようになる。西は成果・結果を意味するので、ここで初めて成果が出るようになる。だから成果や数字や売上を先に求めてはダメなのだ。

 世の中の本質は逆説的である。欲しいと思うと手に入りづらくなり、欲しいという欲求を手放すと手に入りやすくなる。我欲を手放す勇気を持ち、誠実な想いで仕事に臨むから成果が出ると古来より諭しているのだ。

 また南に位置する礼徳では、綺麗な所作・言動を積み重ねる事で多くの者から慕われ出し、自分の夢への協力者が増えていく。無口はダメである。自分の想いを分かち合い、多くの方に語る事で夢が動き出すのだ。片仮名のムに、漢字の口、その下に心を付けると怠となる。つまり想いを分かち合わずに夢に向かって歩まないのは、人生を怠惰に生きていると戒めているわけだ。

 そして北に位置する智徳。専門分野の勉強は当然で、専門外の事柄も広く浅く体験学習する事で、総合的な知見を得ることができる。この体験学習が物事の本質に導いてくれて、固定観念を取り払うことができるようになる。多様な思考を受け入れられる知性を得ることが出来るのだ。