ウクライナ危機、金融政策に影
「2%物価目標」が足かせに?
ウクライナ危機や対ロシアへの経済制裁で世界的に原油などのエネルギー価格や商品市況が急上昇する一方で、地政学リスクの拡大や企業の収益悪化を予想して株価は不安定化している。
「2%物価目標」を掲げて金融緩和を進めてきた主要国の中央銀行はコロナ禍からの経済回復で引き締め・正常化に向けて動き始めていたが、ウクライナ情勢の深刻化でインフレと需要減退が同時に進みかねず、難しいかじ取りだ。
日本銀行も例外ではない。物価は欧米に比べまだ落ち着いてはいるが、じりじり上がる物価と景気の停滞というスタグフレーション的な様相が強まる中、物価目標は存在意義がぼやけ、一方で今後の政策の足かせになりかねない。
日銀は物価目標の見直しを検討すべきだ。
物価目標実現が「最大のリスク」
実質所得目減りし不満が高まる
2013年1月の政府・日銀の共同声明で、日銀は2%の物価安定目標を導入。同年3月に就任した黒田東彦日銀総裁が、この目標を2年間で達成すると約束してから9年の歳月が経過した。
しかし、円安による輸入物価の上昇に加えて、8%への消費増税による影響が出てきた2014年を除けば、消費者物価が2%を超えて上昇したことはない。