IT・戦略会計・人材育成分野のコンサルタントとしてビジネスの第一線で活躍してきた著者の小池康仁氏は、41歳で阿闍梨(あじゃり、密教で修業した僧侶)への道に入り、現在は経営者・経営アドバイザリーとしても活動しながら、自身の体験をもとにした帝王学と陰陽五行論を全国で説いて回っています。
本書『「自分」の生き方――運命を変える東洋哲理2500年の教え』は、師と若きビジネスパーソンの会話形式というユニークな構成を取りながら、古来より口伝されてきた陰陽五行論の神髄を平易に伝えてくれます。
同書の抜粋構成による好評連載第4回では、人と人との関係性を良くし、自分を高める方法について紹介します。
思い込みがあなたの現実をつくっている
人と人との付き合いにおいて、いや、この世界で生きていくうえで、会話やコミュニケーションは非常に重要です。
極端に無口な人もいますが、カタカナの「ム」に漢字の「口」を書き、その下に「心」を加えると「怠」けるという漢字になります。この怠惰の「怠」という字は「ムクチな心の人は人生を怠けている」ということを暗示しています。
陰陽五行論では古来より、自分の想いを周囲に伝えることの重要性を説いています。
「わざわざ言わなくてもわかり合える」という関係を表す「阿吽の呼吸」という言葉がありますが、大抵はわかり合えていません。「君を大切に想っている」「これが大事だ」「お尽くし申し上げております」など、しかるべきときにきちんと言葉で、態度で伝えることがとても大切な事だと本書では説いています。
青年:私の場合、父親と話すのが苦手です。家を出て東京で一人暮らしを始めたこともあり、父とは疎遠になってしまいました。父も、いつからか私と話したがらなくなった気がします。
康仁:では、あなた自身が視点を変えてみてはいかがでしょう。お父様も本当はあなたとざっくばらんに話したいと思っていらして、関係性が悪いと思っているのはあなたの思い込みに過ぎないかもしれません。過去どんなに関係が悪かったとしても、それは過去の話、今この瞬間に「関係性を良くしようと」思った瞬間、良くすることも可能なのです。
青年:そんなものでしょうか。
康仁:あなたの考え方、言葉の与え方が目の前の現実をつくり出していることは確かでしょう。父親と仲が悪いという認識や言葉が、あなたの現実をつくっているのです。お父様のことを思っただけで、もやもやした気持ち、不満、不安、わだかまりといった負の感情が湧いて出てくる、それはそこに何かクリアしなければならない課題があるというサインなのです。