日立日立製作所は、2008年のリーマンショックの経営危機からの再建の過程でIT部門が実権を握ってきた Photo:VCG/gettyimages

日立製作所で激化していた次期社長争いが、予想より早く収束し、候補者が絞られた。社長候補の大本命は誰なのか――。次のトップ交代が意味するところを、4月1日に刷新された新事業体制などから読み解いていく。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

実力者・小島社長が組織改編に着手
新体制から次期トップ人事を予想

 日立製作所の小島啓二社長が4月1日にCEO(最高経営責任者)職を兼務することになり、名実共に実権を握った。

 実は、小島氏はその柔和な表情と会見での穏やかな語り口からは想像もつかないほどの剛腕だ。副社長時代の2021年、日立が米IT企業、グローバルロジック(GL)の買収を決める取締役会で、1兆円という買収額に尻込みする社外取締役を強気のプレゼンで説き伏せたという逸話もある。

 小島氏はCEO就任決定後、早速その剛腕ぶりを発揮した。次のトップ人事にも関わる大幅な組織改編を断行したのだ。

 組織改編で小島氏は、従来五つのセグメントに分かれていた組織を、日立の二つの成長エンジンである「デジタル」と「グリーン(脱炭素化)」を含む三つのグループにくくり直した。

 それでは、小島社長がこの大胆な組織改編に込めた狙いはどこにあるのか。新体制から次のトップ人事をひもといてみよう。