仏アクサグループの資産運用会社であるアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)。欧州を拠点に早くからESG投資に取り組み、蓄積されたノウハウは抜きん出ている。ウクライナ情勢によってESG投資に影響が出るという見方もある中で、アクサIMでは情勢をどのように見ているのか。首藤正浩社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)
ロシアのウクライナへの侵攻
混迷する欧州でESG投資の今後は?
――ロシアによるウクライナ侵攻で、ESG投資にはどのような影響が出ているのでしょうか。
ロシア・ウクライナ情勢によって地政学リスクが高まっています。マクロで見ればインフレ傾向が強まり、それを回避するために金利を上げていくステージにあります。これまで10~20年ほど続いてきた金融緩和局面からの転換という意味では、アセットアロケーションには変化があります。
これはつまり、上場株式や債券、グリーンボンド、グリーンアセット、不動産など、その組み合わせについて影響を与えている可能性があり得るということです。
片や、ESG投資そのものへの関心については、日本だけでなく欧州の投資家も含めて中長期的なものですし、投資家がアセットアロケーションの中でターゲットにしている、例えば5~10%というふうにはなっていません。それは、ESG投資は新しい分野であり、戦略的にゼロから引き上げていく局面だからです。つまり、こちらに関しては、何ら変化はありません。
むしろ、日米という大国がESG投資に関して足並みを揃える形になりましたので、一層スピード感を増して、市場が伸びているということです。
――欧州では特に、エネルギーの調達について大きな影響を受けています。再生可能エネルギーから化石燃料へ、一時的にでも投資の揺り戻しが起き、ESG投資が後退するということはあるのでしょうか。気候変動対策などに大量のESGマネーが流れ込んでいましたが、これが変わるのではとの見方もあります。