地理や歴史を学べば世界の見え方が変わってくる

安藤:ほかにも、視点の立て方として、民族や文化、経済などから比較してみることも大切です。

 たとえば民族から見ると、さきほど「ハンガリー」「ルーマニア」「ポーランド」の国名は知っていても、それ以上のことはほとんど知らないとおっしゃっていましたけど、この3つの国はそれぞれ民族が違うんです。

――へぇ、そうなんですか。

安藤:そうなんです。同じような場所にある同じような国々というイメージがあるかもしれませんが、民族が全然違いますし歴史も違います。

 ルーマニアはラテン系の民族が多数を占めローマ帝国の影響を色濃く受けて国が成立した歴史をもっています。ポーランドはスラブ系の人たちが多い国です。ハンガリーも、もともとはスラブ系民族が多い地域にあったのですが、東から移動してきたアジア系民族の王国として誕生しています。

 こんなふうに視点を定めて、国や地域を調べていくと、それぞれの違いや共通点が見えてきますし、その違いを生んでいる位置的な事情や歴史背景などにも興味が湧いてきますね。

 今、世界で何が起こっているのか、その事実に注目するのは、もちろん大事ですが、もう一歩踏み込んで、世界各国の地理や歴史を紐解いてみると、世界の見え方は大きく変わってくるはずです。

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