野菜に多く含まれる食物繊維が体にいいことはよく耳にしますが、実は私がおススメする「インスリン節約ダイエット」を実践するなら、積極的に採ってほしい野菜があると、産業医として年間5万人の健康指導をする総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で述べています。意外に知られていない、ダイエットに効果的な食物繊維を多く含む野菜とは?(文・監修/総合内科専門医 益江 毅)
その野菜、本当にダイエットに効果的?
ダイエットを成功させるためには、食事の際、野菜を最初にとる「ベジタブルファースト」を心がけることが重要です。
そして、その効果をさらに高めるコツがあることをご存じでしょうか。
それは、野菜に含まれる食物繊維の「質」を選ぶことです。
整腸作用があり、便秘の予防にも効果的と言われている食物繊維ですが、水に溶ける性質を持つ「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれ、体内での働きが異なります。
例えば、水溶性食物繊維には「腸内細菌のエサになり、腸内環境を整える」「短鎖脂肪酸を産生し、血糖コントロールを改善する」ことに加え、「脂質の吸収を抑える」「糖質の吸収を抑えて食後高血糖を防ぐ」という効果が期待できます。
一方、キャベツなどに多く含まれる「不溶性食物繊維」は、「食事の満腹感を高める」「便のかさを増やして腸の動きを高める」「お通じの排出スピードを速くし、有害物質を素早く体外に排出する」と言われています。
共に、ぜひとも取り入れたい栄養素ではありますが、私がおススメする「インスリンを節約する」というダイエットの効果をより高めるためには「水溶性食物繊維」を意識して採っていただきたいのです。
水溶性食物繊維は先にお伝えした通り、糖質の吸収を抑えて食後高血糖を防ぐことに加え、腸内細菌のエサになると、さらにダイエットを後押しする成分が作られます。
それは、酪酸、酢酸、プロピオン酸などの酸性の働きを持つ「短鎖脂肪酸」です。短鎖脂肪酸は腸内環境を酸性にし、悪玉菌が増殖しにくい環境を整えます。また、短鎖脂肪酸はインスリンの働きを良くして血糖値をコントロールしやすい状況も作ります。
このように、水溶性食物繊維は、食事のときの糖の吸収を抑えるだけでなく、血糖値をコントロールしやすい体内の環境を整えるというダブルの働きがあるのです。
野菜には食物繊維が多く含まれていますが、実は、水溶性食物繊維を豊富に含む野菜は限られており、ゴボウ、アボカド、大豆製品の納豆、海藻類やアーモンドにも水溶性食物繊維はたっぷり含まれいます。さらに注目が、大麦(押し麦)や、ライ麦パン、オーツ麦(オートミール)。これらの穀物には水溶性食物繊維が豊富なので、積極的にとり入れたい食品です。