金融DX大戦#10Photo:123RF

全ての金融サービスをスマートフォン上で完結させ、優れた操作性や、これまでの銀行にはない利用体験を提供するデジタルバンク。日本でも2021年にふくおかフィナンシャルグループのみんなの銀行が、22年に東京きらぼしフィナンシャルグループのUI銀行がサービスの提供を開始した。ただし、この2行は似て非なるデジタルバンクだ。特集『金融DX大戦』(全22回)の#10では、みんなの銀行とUI銀行の事業戦略を、「三つの違い」を軸にひもとく。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

銀行業を再定義する「デジタルバンク」
最先発2行の事業戦略は実はだいぶ違う!

「銀行業」を再定義する――。最近、耳にすることが多くなった「デジタルバンク」。それは、テクノロジーを起点に「銀行はどうあるべきか」を根底から見直し、商品やサービスを展開する銀行のことである。

 店舗を持たず、全ての金融サービスをインターネット上で完結させるという意味では、「インターネット銀行」と変わらない。

 しかし、UI/UX(ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンス。商品やサービスの外観、世界観や、それを通して得られる体験)を追求した使い勝手の良さや、これまでの銀行では得られない商品やサービスの提供を行う点で、ネット銀行とは一線を画す存在だ。

 日本では2021年5月、福岡銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FG)が、初のデジタルバンク「みんなの銀行」のサービスを開始した。続いて22年1月には、きらぼし銀行(東京都)を傘下に持つ東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)が、「UI銀行」のサービスを始めている。

 ただしこの2行は、同じデジタルバンクを標榜してはいるものの、ターゲットとする顧客層やビジネスの展開手法がだいぶ違う。ふくおかFGと東京きらぼしFGが、デジタルバンクを通して刈り取ろうとしている“果実”とは何なのか。

 次ページでは、みんなの銀行とUI銀行の事業戦略を、「三つの違い」を軸にひもとく。