大学の実力を測る“入り口”が偏差値ならば、“出口”に当たるのが就職だ。就職の強さをうたう大学は多いが、強みがある業界や個別企業は各大学で大きく異なる。そこで、特集『大学2022 劇変の序列・入試・就職』(全24回)#8では、東京大学や早慶(早稲田大学、慶應義塾大学)など首都圏の就職5強とされる大学について、大学通信が選定する「主要400社」各社への個別の就職者数を掲載。行きたい業界、企業に強い大学が一目瞭然だ。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋、宮原啓彰)
主要企業400社の各社への就職者数は
大学によって傾向が大きく異なる
就職の強さをうたう大学は多いが、その強さの中身は千差万別だ。個々の大学の就職力を測るのは、何も全体の実就職率の高さだけではない。
本特集の#5(『偏差値は高くないのに有名企業への就職に強い【私立大学】ランキング!埼玉工大、金沢工…』)で見たように、大学通信が選定する日本を代表する主要企業400社への実就職率といった、その「質」も見る必要がある。さらには、就職という大学の“出口”を踏まえて志望校を選ぶならば、どの大学がどの業界、どの企業に強いのかまで調べた方がよいだろう。
そこで、ここではその首都圏編として、国立大学から東京大学と一橋大学、東京工業大学、私立大学からは早稲田大学、慶應義塾大学という、就職力に定評のある5大学を選び、大学通信のデータを基に主要400社の各企業への就職者数を全て掲載しよう(関西編は#18『関西就職5強【京大阪大神戸同志社関学】主要400社就職者数全リスト、どの大学がどの企業に強い?』を参照)。
詳しくは次ページを参照してほしいが、この5大学の全体の実就職率(2021年春の就職者)は、一橋大(実就職率92.5%)を筆頭に東工大、慶應大、早稲田大(80.6%)の順(東大はデータなし)だが、その差は12ポイント程度だ。
一方、主要400社への実就職率に目を転じると、その差はより大きくなる。トップは一橋大の56.7%で、4位の早稲田大(33%)と20ポイント以上、5位の東大(19.2%)とは37ポイントの開きがある。
だが、5位の東大を例に個々の企業の就職先をつぶさに見ていくと、全く別の側面が見えてくる。日本銀行や三菱商事のほか、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループといった外資系コンサルティング会社など、主要400社の中でも“超一流”とされる企業への就職者数では、他の4大学を圧倒しているのだ。
ちなみに、東大は、主要400社に含まれない国家公務員や研究機関、有名外国企業への就職者も多く、「自ら起業したり、あえてスタートアップに就職したりする学生も少なくない」(大学通信の井沢秀・情報調査・編集部部長)。
次ページには、その東大をはじめ5大学の主要400社各社への全就職者数を掲載した。それぞれの大学が具体的に、どの業界、どの企業への就職に強いのか、ぜひ確かめてほしい。