大学2022_劇変の序列・入試・就職#9Photo:JIJI

大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、打倒・神戸大学を掲げる大阪公立大学の初入試が行われた、関西の2022年入試。特集『大学2022 劇変の序列・入試・就職』(全24回)の#9では、関西の大学序列を劇変させるといわれる大阪公立大のほか、かつての落ち目から一転、志願者数を大きく伸ばした関西学院大学など、関西の大学入試の最新分析をお届けする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

統合後の初入試で降りかかった
大阪公立大の“不運”とは?

 関西エリアの大学ヒエラルキーは京都大学を最高峰に、大阪大学と神戸大学という名門国立3大学が君臨し続けてきた。

 その国立王国の牙城を崩そうとする挑戦者が、2022年入試から登場した。旧大阪市立大学と旧大阪府立大学が統合して誕生した大阪公立大学だ。

 12の学部・学域を有し、学生総数は約1万6000人。学部の入学定員数は、国公立大では阪大、東京大学に次ぐ3番手だ。統合前から神戸大はもちろん、いずれは阪大を「超える」ことを目標に掲げてきた。

 22年入試における関西の最大の注目は、その日本一の規模を誇る新生・公立大がどれほど人気を集めるのかという点にあった。ところが、だ。

「脅威に感じていたが、ふたを開けてみるとそれほど大きなインパクトはなかった」と、関西のライバル大学の関係者は口をそろえる。22年入試における大阪公立大の志願者数は1万3188人と、全国の国公立大で最多だったにもかかわらず、である。

 前年21年入試における大阪市立大と大阪府立大の志願者数の合計と比較すると、志願者数は601人の減少。志願倍率も5.39倍にとどまり、上昇するどころか、わずかではあるがダウンしてしまった。つまり、期待された志願者数の殺到も難易度の上昇も起きなかったわけだ。

「統合後初の入試が、極めて“不運”な年に当たってしまった」――。

 そう悔しさをにじませるのは大阪公立大の幹部だ。その怨嗟の矛先は、本特集#1の『23年大学入試はどうなる?私大入学定員厳格化が緩和へ、共通テストは易化か』でも見た、今年1月の大学入学共通テストだ。

 次ページでは、共通テストの“逆風”を大阪公立大が関西の国公立大の中で最も受けたとされる理由と、その「漁夫の利」を得た大学、さらに関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)と産近甲龍(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)という関西の主要私立大学の受験動向を詳しく見ていこう。

 そこからは、関西エリアの新序列に向けた“萌芽”が見えてくる。