不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】絶対にこんな人を相手にしてはいけない…人間関係に苦しまず生きる秘訣

“キレる人”は、なぜキレるのか?

いきなり怒り出す人っていますよね。いわゆる“キレる人”というのは、自分の意に沿わない現実に直面すると、不安になるんです。そして、相手を悪者にして、逆切れする。そういうパターンで、自分の心を守ろうとするんですね。

精神分析の世界に「防衛機制」っていう言葉があります。危険なことや困難なことに直面したとき、それによる不安や苦痛を減らすため、無意識に作用する心理のことです。

自分にとって都合がよくない現実に直面したとき、自分の心を落ち着かせるため、現実をちょっと加工して、なんとか折り合いをつけようとするともいえます。

よい心の防衛、悪い心の防衛

たとえば、タバコを吸うことが健康に害を及ぼすとわかっていても、やめられない喫煙者が「タバコを吸っていても、長生きしている人がいるじゃないか」と自分に都合のよい言い訳をする。

それは、自分に都合の悪い問題に直面しているんだけど、それを認めると自分に都合が悪いし、考えると心配になってしまうから、そんな問題は存在していないことにする。

これらはネガティブな防衛機制ですが、ポジティブな防衛機制としては、その自分のなかにある葛藤とかストレスを、勉強やスポーツに打ち込むことで発散する。これを「昇華」といいます。

キレることを経験から学んでしまった人

防衛機制にも、いろいろなパターンがあるということです。そして、“キレる”というのも、防衛規制のひとつなんですね。自分に都合の悪いことにキレることによって、自分の心を守ろうとする。逆にいうと、キレる人は、キレることによって、自分の心の平静が保てることを経験から学んでしまった人なんですね。

キレて否定して、怒りを差し向けることによって、物事を解決してきた人なんです。そういう人と関係性を持っていると、いつ何時、否定され、キレられるかわかりません。

それが、彼なり彼女なりが、自分の心を守る手段として身についているからです。そんな人と話しても意味がないと、割り切ったほうがいいです。

キレたことのある人には近づかない

だから、一度でもキレるという手段を選んだ人とは、もう話はできないんですよね。その人を説得するとか、話し合いをするなんてことは諦めて、最初から関係性を持たないほうがいいんです。

キレるというのは、相手を拒絶する一種の暴力のようなもの。そのやり方が間違っていることを本人が気づいて、変えようとしなければ、どうにもなりません。

だから、アナタがとれる手段というのは、キレる人にはなるべく近づかない。関係性を持たないということだけなんですね。けっして説得しようなんて思わないことです。

『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)には、不安や悩みを解消するヒントが満載です。