10年後、着実に結果を出すためにやるべきこと

──人材育成に悩む人事担当者も多いと思いますが、企業と同様に、やはり、「10年後も成長し続ける人」というのは、「自分だけの強み」を持っているものなんでしょうか。

奥野:同じだと思いますよ。生き残れる人は、生き残れる企業と同じものを持っていると思います。「構造的に強靭な企業」の特徴は、人にも当てはまるんですよね。

 だから、人事担当者は、自分で考える人をとってこないとダメですよね。優秀そうに見えても、言われるまでやらない人ではダメで。データを収集してくるのはうまいけど、自分で決断はできない。「集めてきたけどどうしましょうか」みたいなことを言ってくる人は、細かく指示を出してくれる上司がいるうちはよくても、途中で必ず、成長は止まります。「なんでこうなってるんだろう」と考え、仮説を立てる力がないと、ビジネスの世界で生き残るのは難しい。

 顧客が抱えている課題を発見し、それを解決する方法を提供することこそが、付加価値を提供するということであり、ビジネスの第一義的な使命です。

 だから、顧客もまだ言語化できていないようなニーズへの打ち手を合理的に考え、提案すること。それも、他人の真似じゃなく、「その人しか打てない打ち手」じゃなくちゃいけません。そういう企業、そういう人こそが、10年後に着実に結果を出してくるんじゃないかなと。

──なるほど。「その人しか打てない打ち手」ですか。

奥野:私が投資先を見極めるとき、「考え続けている企業」かどうか? というのは、常に見るようにしていますね。「成長のアイデア」というものは、あるときに急に思いつくわけじゃない。ずっと考え続けているからこそ生まれるわけで。

 とはいえ、具体的にどう考えればいいのか、わからない人も多いと思います。実際、私のところにも、「投資家の思想を実践する具体的な方法を詳しく知りたい」という声が多く寄せられました。今回の『投資家の思考法』は、そんな要望に答えられれば、と思いながら書いたものなので、活用してもらえたら嬉しいですね。

【大好評連載】
第1回 「必死に働いてもお金持ちになれない人」の特徴ワースト1
第2回 なぜ、「真面目にコツコツ働く人」ほど損をしてしまうのか?
第3回 35歳で「急に成長が止まる人」と「収入が上がる人」の決定的な差

奥野一成(おくの・かずしげ)

投資信託「おおぶね」ファンドマネージャー

【プロ投資家が解説】「10年後、圧倒的に伸びる企業」の見極め方

農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 投資家の思考法』『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(いずれもダイヤモンド社)など。

 

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