ただ西武HDは約646億円のうち約492億円、近鉄GHDは約643億円のうち約470億円が特別利益で、経常利益で見ると、最大は阪急・阪神HDの約495億円で、近鉄GHDが約253億円、東急が約247億円、東武鉄道が約232億円で続いた。

 各社の経常利益はコロナ前(2019年同期)と比較して近鉄GHDと阪急・阪神HD、東武鉄道が7割の水準まで回復しており、小田急が6割、東急、京阪HD、名鉄、南海、京王は4割前後となっている。西鉄は約1.6倍に増加しているが、これは同社の物流事業の営業利益が前年同期比約64億円の増(コロナ前と比較すると約10倍)となったことに起因している。

 ここから個別に見ていこう。西武HDは特別利益として固定資産売却益約714億円、減損損失約213億円を計上している。

 このうち約690億円は今年9月30日、ザ・プリンスパークタワー東京、札幌プリンスホテル、グランドプリンスホテル広島、ザ・プリンス京都宝ヶ池の4施設を譲渡したことによるもので、さらに下期はサンシャインシティプリンスホテル、苗場プリンスホテル、苗場スキー場など27資産の譲渡を予定しており、この一部について減損損失約134億円を第2四半期に計上した。

 西武鉄道は6月30日に国内のホテル・レジャー施設計31資産を、シンガポール政府系投資ファンドのGICに約1471億円で売却する契約を締結しており、施設を売却し、運営に特化する「アセットライト経営」を進めたいとしている。

 営業利益も大きく改善した。西武HDはコロナ前(2018年度)、連結売上高の4割近くを占めたホテル・レジャー事業が外出自粛などの影響で大打撃を受け、2020年度上半期は同部門で約302億円の営業赤字を計上するなど、コロナの影響を最も受けた事業者だった。

 ところが今年度上期は、例えば国内ホテルのRevPAR(販売可能な客室1室当たりの売り上げ)が前年同期比約36%増加するなど、利用者が回復傾向にあり、また人件費・販促費など固定費を約89億円削減したことで、約11億円の営業黒字に転換した。都市交通・沿線事業も前年同期の約23億円の営業赤字から約30億円の営業黒字となった。