コロナ前の連結売上高を
上回った阪急・阪神HD
続いて阪急・阪神HDだ。同社の連結売上高は、前年同期から約1563億円増の約4672億円と大幅に増加しており、これはコロナ前の2019年同期を500億円以上、上回る数字だ。
営業利益は前年同期の約101億円から約488億円へ、約387億円の増益となった。「都市交通」セグメントが前年同期約3.3億円の営業赤字から約119億円の営業黒字へ、約122億円の改善、「旅行」セグメントが約84億円の営業赤字から約82億円の営業黒字へ約165億円の改善となった。また宝塚歌劇団や阪神タイガースなど「エンタテインメント」セグメントも約58億円増となる約139億円の営業黒字だった。
「都市交通」では、前年同期の緊急事態宣言などによる外出自粛の反動で一定の回復が見られた。コロナ前(2019年同期)と比較した運輸収入は、阪急電鉄が定期約14%減・定期外約19%・合計約17%減、阪神電鉄は定期11%減・定期外約19%減・合計約16%減と、私鉄各社の中で減少率が少ないことも、それを裏付ける。
興味深いのは「旅行」セグメントの大幅な改善だ。どん底は脱したとはいえいまだ厳しい状況が続く旅行業界で、何があったのか。実はこれ、本業ではないもうけだという。同社決算資料によれば「宿泊療養施設の管理運営業務など旅行以外の事業において受注が大幅に増加した」ことが大きいという。リソースを最大限活用して利益を上げる姿勢に阪急・阪神HDの強さが表れていると言えるだろう。