尹錫悦政権の姿勢に反発し
妨害活動を展開する民主労総

 韓国は、文在寅政権の5年間に北朝鮮の核ミサイル開発を事実上黙認してきたことで、安全保障上の懸念が高まっている。また、自由な経済活動に支障となる各種の規制が強化されたため、韓国企業の生産活動に対する意欲を減退させ、国際的な競争力を弱めている。

 尹錫悦政権にとっての最大な課題は、こうした点を是正することであり、政策の変更を阻止しようとする共に民主党との対決姿勢を強めざるを得ない状況に置かれている。

 民主労総は、こうした尹錫悦政権の姿勢に反発し、各種の妨害活動を繰り広げている。このため尹錫悦政権は、民主労総とも全面的な対決姿勢を取り始めている。それは、貨物連帯のストとMBCへの最近の対応に顕著に示されている。

物流を止めかねない
貨物連帯のスト

 トラック運転手2万5000人の個人事業主で作る民主労総の公共運輸労組貨物連帯本部(以下、貨物連帯)は、運転手への運送料保障「安全運賃制」の恒久化と運用拡大を求めて24日にゼネストを開始した。ストの実施は今年6月に8日間行って以来、5カ月ぶりである。「安全運賃制」は2020年に導入されたが、今年いっぱいで廃止される予定である。

 貨物連帯の組合員数2万5000人はトラック運転手全体の6%程度だが、コンテナトラックなど特殊大型トラック運転手1万人以上が所属するため、そこがストに入れば、物流の停滞が生じる。現に、各地の生産現場では出荷がストップするなど物流に支障が出ており、コンテナ港では取扱量が激減している。

 現代製鉄の浦項(ポハン)工場では1日当たり8000トンの製品を出荷してきたが、24日からは全く出荷できずにいる。

 現代自動車では今のところ生産に影響は出ていないが、完成車を出庫拠点に運ぶ運転手がストをしているため、自社配送センターの従業員が完成車を運転して運んでいる。

 石油化学・鉄鋼メーカーが密集する光陽(クァンヤン)港と麗水(ヨス)国家産業団地でも物流に支障が出ている。

 また、仁川(インチョン)港のコンテナターミナルでは貨物の搬出・搬入量が直前に比べ7割以上減少した。

 こうした物流への影響は今後拡大することが懸念される。貨物連帯は、首都圏の物流拠点である京畿(キョンギ)道義王(ウィワン)市の内陸コンテナ基地を含め、釜山新港、全羅南道の光陽港などの出入り口を封鎖するとしている。

 なお、6月に8日間のストを行った時は、鉄鋼業界1兆1500億ウォン(約1200億円)、石油化学業界5000億ウォン(約520億円)、自動車業界2500億ウォン(約260億円)の損害が生じたと推計されている。