経済界から上がる
スト中止を求める声

 今回の貨物連帯のストは無期限であり、損害は一層拡大する可能性がある。このため、全国経済人連合会(全経連)や大韓商工会議所などの経済6団体は共同声明書を通じ「現在韓国企業は類例のない危機状態に直面している」と危機感をあらわにしている。

 石油化学業界関係者によれば「1週間以上出荷が行われない場合、工場を止めるほかない状況」という。

 サムスン電子などの主要輸出企業も、物流に支障が生じれば工場が止まり、製品の供給はもちろん輸出にも影響が出る恐れがある。

 産業界からは被害を訴える事例が続出している。その多くは、納品遅延による違約金発生と取引中止に関するものだが、物流費の増加や原副資材搬入の支障に関する申告もある。

 韓国経営者協会と業種別団体もストの中止を求めている。

 中小企業中央会と小商工人連合会も声明を出し、「最近、物価高、ウォン安ドル高、高金利のほか労働力不足、コスト上昇までが重なり、中小企業の被害は深刻」とし「貨物連帯の一方的な輸送拒否は、輸出まで防いで海外取引先の注文が途切れるなど、中小企業の経営難を深める」と激しく非難した。

韓国政府は非常事態態勢で
あらゆる手段を講じると警告

 韓国政府は国土交通部・産業通商資源部・警察庁・国防部などが関係部署合同非常輸送対策本部を立ち上げ、非常事態態勢に突入している。

 韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「違法な輸送拒否や輸送妨害行為には一切寛容な態度は取らず、あらゆる措置を講じて厳正に対処する」と強硬な姿勢を示しており、衝突は避けられない見通しだ。

 ストが長期化する場合、6月のストの時には取らなかった公権力の行使による強制解散や(労働者に業務復帰を強制できる)業務開始命令、さらにこれに応じなかった場合の免許取り消しといった強硬対応に出る可能性もある。

 尹錫悦大統領はフェイスブックを通じ、「国民や企業、そして政府が一丸となって危機克服に専念している状況で、貨物連帯が無期限集団輸送拒否に突入した」「無期限な輸送拒否を持続すれば、政府が業務開始命令を含むさまざまな対策を検討するしかない」と警告した。

 さらに「他の車両の出入りを遮断し、正常運行に参加した同僚を苦しめるのは、他人の自由を踏みにじる暴力行為」「地域別輸送拒否、運送妨害など全ての違法行為に対しては、法と原則に従って厳重に対応する」と述べた。

尹錫悦政権と民主労総の
衝突は不可避の状況

 民主労総は、一般の国民の福祉よりも、政治闘争に明け暮れる団体である。今回の一連のストが尹錫悦政権に対抗するためのものならば、韓国社会がいかに大きな被害が生じようと、貨物連帯は妥協する姿勢を示さないだろう。

 他方、尹錫悦政権としても、文在寅政権時代に傲慢となった民主労総の過剰な要求に屈することはできない。中途半端な妥協もないであろう。

 したがって、双方とも妥協がないままに衝突する事態となる可能性が高まっている。民主労総を瓦解させるためには必要なプロセスではあるが、韓国経済にとって負担は大きい。