生きた時間を生み出す!どんな時短術にも勝る「判断力」の鍛え方

日々、仕事や生活に追われて、「時間がない」が口癖になっている人は少なくないだろう。そして、時間がないことを理由に、自分のやりたいことができないと感じているかもしれない。しかし、『1分間瞬読ドリル』の著者・山中恵美子さんは、「『時間がない』と思っている人は確かに多いと思います。ただ、これまで要していた時間を半分に短縮することは可能」と語る。なぜ『1分間瞬読ドリル』で時間を生み出すことができるのか、時短術よりはるかに効率的な方法を山中さんに聞いた。(取材・構成/久保佳那 撮影/疋田千里)

即決即断を積み重ねれば、時間のゆとりが増えていく

――「時間がない」が口癖な人に限って、時間の使い方を変えようと努力するものの、うまくいかないように思います。脳を上手に働かせることで、何とかならないでしょうか?

山中恵美子(以下、山中):日常にあるコミュニケーションや判断の一つひとつの時間を短縮できれば、これまでの半分の時間で済みます。「時間がない」と言う人は、日々悩むことに時間を使っていることが多いように感じます。逆に仕事が早い人は、判断して決めるのが早いんですよ。つまり、「判断力」が長けているわけです。判断力は今からでもすぐに鍛えられます。

 朝出かけるときに、「どっちの服を着ていこう?」と悩んでいる人がすぐに決められる。「A定食、B定食、どっちにしよう?」と悩んでいたところを1秒で決められる。単純ですけど、それだけでも、時間が増えると思いませんか? これ、すべて「判断力」です。

――判断して、決めるまでの時間を短くしていくと、たしかに時間を短縮できそうです。

山中決めるスピードを速めることで、「判断力」が鍛えられます『1分間瞬読ドリル』の各章の制限時間が1分なのは、時間を区切ることが脳にとって大事だからです。たとえば、ある人は毎朝1時間、外出の支度をしているとします。ある日、寝坊してしまい、家を出る10分前に起きてしまったとしたらどうでしょうか? そんなときは、なんとか間に合わせようとする人がほとんどでしょう。無理かもしれないという制限時間があることで、自分の能力を限界まで使うことができるんです。

『1分間瞬読ドリル』は決して難しい問題ではないので、時間があれば誰でも解けます。なので、短い時間を設定しています。そのほうが、『1分間瞬読ドリル』からです。

――私もやってみたのですが、1分はあっという間でした。

山中『1分間瞬読ドリル』は、間違えてもいいからどんどん答えを出していくスタンスなので、初めてやると「こんなの1分じゃ無理だ」と思う人が多いかもしれません。でも、慣れてきたら、「意外といけるな」と、思考が変わってきます。

 スピードに慣れてきたら、日常生活にも変化を感じてくるはず。短い時間で考えるクセがつくので、日々の考える時間、決断する時間がどんどん短くなっていくのです。

「始業後、メールチェックか、資料のチェック、どちらから始めるのか」「施策は、プランAにするのか、プランBにするのか」、仕事上で判断することはたくさん、無限にあります。この一つひとつを判断するスピードが速くなり、即断即決できるようになることで、知らぬ間に時間のゆとりができてくるのです。

――時間の節約が積み重なって、使える時間が増えていきそうですね。

山中意識的に、即断即決するクセをつけていくことが大事です。まずは小さなことから即断即決していきましょう。間違えることを怖がらずに、早く決めることを優先してみてください。習慣になれば、大きな事案でもすぐに判断できます。

 私が教えている方で、会社を上場させた人が複数人います。皆一様に、「瞬読を始めたことで、決断や判断、情報の取捨選択が早くなった」と、話していました。

 また、会社員だった方が会社を辞めて起業して独立するなど、新しいことに取り組もうという思考になる方も多いです。

『1分間瞬読ドリル』は、即断即決の練習にも使えますし、時間を決めて取り組むので、「集中力」が増します。「何分かかってもいい、何時間でもいい」ではなく、「1分で書き出してみてください」と言われて初めて、集中力を発揮できるんです。

どんな人でも、何歳からでも脳を鍛えることはできる

――「自分は無理かもしれない」と言う人でも変われそうですね。

山中:「私は無理~」と言う人は確かにいます。でも、変われます。

 始める前は無理だと思っていることも、少しずつやり続けていると、自然にできるようになっていること、たくさんありますよね。たとえば、初めて対応することになった仕事など。はじめは、「無理かもしれない」と思っていたとしても、何度かやっていたら、何となくできるようになり、今では自然にできていること、ありませんか?

 私自身、数年前は人前で話すことに慣れておらず、カメラを向けられるとロボットのような話し方に。何度も撮り直しになったことは、今でも覚えています。ですが、今では話すことが大得意。数年前の出来事を話すと、信じられないと驚かれます。

 やってできないことは人間にはありません。できないと思ってしまうのは、シンプルにやったことがないからです。もちろん、持って生まれた能力の差はあるかもしれませんが、意識することで能力は磨けます。

 脳は鍛えれば鍛えるほど、年齢を重ねても活発に動きますし、使わなければ退化していきます。脳は使えば使うほど、よくなっていくんです。

――自分が思う以上に、脳は働いているということですね。

山中:そうです。『1分間瞬読ドリル』は、読者ゾーンが大きく3つに分かれています。そのうちの一つ、ビジネスパーソンにおいて、仕事での判断や決断のスピードが速くなる効果があるように作っています。

 スピーディーに仕事や物事が進めば、使える時間が増えて、効率的なインプットが可能です。

 1日24時間は、誰しも平等です。『1分間瞬読ドリル』で、仕事での判断スピードが上がり、効率的に情報収集ができるようになれば、1時間かかっていたことが30分で終わるようになる、つまり、時間を生み出すことができるのです。

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第1回 本を速く読む「瞬読」で、脳に秘められた力を伸ばす
第2回 「あの人の名前、何だっけ?」がなくなる画期的メソッド

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